2018年8月17日金曜日

福島原発 汚染水発生の抑止に新システム

 福島原発の原子炉冷却水は本来はクローズドシステムで、冷却水を空冷(や熱交換器)で冷却した後に原子炉に戻す循環方式になっているのですが、原子炉建屋やそれと連通しているタービン建屋の地下部分の破損個所から、乾季でも地下水が日量150トンほどが侵入してくるために、その分を汚染水として引き抜き、累積で90万トンもが屋外タンクに保管されるに至っています。
 東電はまず原子炉建屋とタービン建屋間の水の連通を止め、原子炉建屋内から水を引き抜くことで汚染水の発生量を減らし、ゆくゆくは原子炉建屋の地下破損部を修復して、地下水との混合をなくすことを目指すということです。
 いずれにしても地下水と冷却水との混合をなくすことが、汚染水の発生を防止する根本策となります。
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第一原発、滞留水減へ新システム 建屋内で冷却水循環
福島民報 2018年8月16日
 東京電力は福島第一原発の溶融核燃料(デブリ)を冷却した後に残る滞留水の発生を減らし、原子炉建屋内で冷却水を循環させるシステムを構築する。格納容器内にある水だけで冷やすシステムの確立など二〇二〇年度から具体的な検討に入る。システム完成で汚染水発生の抑制と建屋外に汚染水が漏れるリスクの低減が期待される。 
 
 東電は冷却水を原子炉に注入した後に建屋内から直接くみ上げ、放射性物質を除去した上で、再び原子炉に戻す設備を設ける方針。格納容器内の水だけで循環させる手法のほか、既設の放射性セシウム吸着装置を活用する方法や1~3号機の原子炉建屋ごとに放射性物質の除去装置を新設する案なども検討する。 
 
 現在、高濃度の放射性物質で汚染された滞留水が原子炉建屋から隣接するタービン建屋に漏れ、両建屋内に流入する地下水と混ざり合って汚染水の発生量を増やしている。地下水の流入量は一日当たり百トンほどで、東電は雨期を除く一日当たりの汚染水発生量百~百五十トンの大部分を占めているとみている。 
 当面は二〇二〇年までに原子炉建屋とタービン建屋の貫通部分を止水し、汚染水の発生量を減らす計画。将来的には原子炉建屋への地下水の流入も防ぎたい考えだ。