2018年8月31日金曜日

原発避難者集団訴訟第2陣 原告ら「放射線量高く帰れない」と

 福島県の避難指示区域外から千葉県内に避難している6世帯19人が国と東電に計約24700万円の損害賠償を求めた集団訴訟(第二陣訴訟)が30日、千葉地裁で結審しました
 30日には原告5人が意見陳述し、「今福島に戻ったとしても、ふるさとの自然は元通りになっていない。放射線量は高いままで、帰れるとも思っていない」「原発事故で築いてきたものがすべて奪われた。自主避難を選んだ国民を補償するのが国の役目だ」と訴えました。
 放射線管理区域の空間線量を4倍も上回る線量20mSv/年を基準に、それ以下の区域から避難した人たちを「自主避難者」として、いまだに事ごとに差別している現状が是認されているのは理解しがたいことです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発避難者集団訴訟第2陣 原告ら意見陳述「放射線量高く帰れない」
東京新聞 2018年8月31日
 東京電力福島第一原発事故に伴い、福島県の避難指示区域外から千葉県内に避難している六世帯十九人が国と東電に計約二億四千七百万円の損害賠償を求めた集団訴訟(第二陣訴訟)が三十日、千葉地裁で結審した。判決は来年三月十四日に言い渡される。
 
 三十日は原告五人が意見陳述。福島市から野田市に避難している原告団長の菅野貴浩さん(56)は「今福島に戻ったとしても、ふるさとの自然は元通りになっていない。放射線量は高いままで、帰れるとも思っていない」と語った。福島県いわき市から県内に避難している四十代女性は「原発事故で築いてきたものがすべて奪われた。自主避難を選んだ国民を補償するのが国の役目だ」と涙ながらに訴えた。
 訴状などによると、原告は当時、いわき市や福島市などの避難区域外に居住。「避難区域の設定に合理性はなく、区域外を理由に賠償額が低くなるのは許されない」として、慰謝料などを求めている。
 
 原告側の代理人弁護士は「国と東電は津波を予見でき、対策をしていれば事故は防げた。今も放射線量は高く、避難には合理性がある」と主張した。
 東電の代理人弁護士は「国の指針に基づいて賠償している」などと反論。これまで国と東電は「津波は予測できなかった」などと主張してきた。
 
 原発事故に伴う避難者の集団訴訟は全国で約三十件あり、国と東電が被告となった訴訟では五件の地裁判決が出たが、昨年九月の千葉地裁の第一陣訴訟判決のみ、国の責任を否定した。
 一陣訴訟の原告十八世帯のうち十三世帯と、被告の東電が控訴している。