2018年8月7日火曜日

猛暑で欧州の原発が相次ぎ稼動を中断

 欧州の原発の冷却水は河川から取るのが普通です。原発は発電効率が30%と低いので、その分多量の冷却水を要する(火力の15~20倍)し、必要量の水量が得られなければ冷却後の水温がその分高くなります。
 猛暑に襲われた欧州では、河川水の温度を過度に上げられないために、原発を止めたり発電量を落としたりして対応しています。
 韓国ハンギョレ新聞がその実態を報じました。
 
追記)韓国や日本では海水で冷却するので目立たないだけで、冷却後の海水を海に戻すことで、海水をより熱くしている事実に変わりはありません。
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“異常高温”で欧州の原発が相次ぎ稼動中断
韓国ハンギョレ新聞 2018年8月6日
 欧州を強打した“異常高温”で、原子力発電所が相次いで稼動を止めたり出力を下げている。原子炉を冷ます冷却水の水温上昇のためだ。
 
 フランス電力公社は5日、東部フェッセンアイム原子炉の稼動を停止したと明らかにした。この原子力発電所は、欧州の“原発大国”フランスの最も老朽化した原子力発電所で、2020年4月に閉鎖される予定だ。フランス電力公社は、原子力発電所で使った冷却水により川の水温が過度に上昇することを防ぐための措置と説明した。AP通信は、今回の措置まで合わせてライン川とローヌ川近隣のフランスの原子力発電所のうち、計4基の稼動が中断されたと伝えた。
 
 三方が海で囲まれた韓国の原発は海水を冷却水として使うが、欧州の内陸にある原子力発電所はライン川、エルベ川、ローヌ川などの主要河川から水を引き原子炉の熱を冷却している。しかし、欧州を襲った猛暑と日照りで、河川の水量が大幅に減り、水温は大きく上がった状態だ。こうした状況で原子力発電所で熱せられた冷却水を放流すれば、魚が集団で死にかねない
 
 欧州の他の地域でも猛暑で原発の稼動に問題が生じている。ロイター通信は、フィンランド南部のロヴィーサ原子力発電所も1日、北欧を襲った異常高温で、バルト海の水温がきわめて高くなり、出力を大幅に下げたと伝えた。フィンランドのエネルギー企業のフォルトムは「冷却水として使う海水の温度が普段より高い24度になった。このため原子炉の出力を下げた」と明らかにした。ドイツでは、フィリップスブルク原子力発電所、グローンデ原子力発電所、ブロークドルフ原子力発電所が、冷却水問題で電力生産量を減らした。スウェーデンの原子力発電所も出力を下げた。
 
 専門家たちは、地球温暖化による異常高温が、今後の原子力発電所の稼動に大きな影響を及ぼすと予想している。猛暑の中で電力需要は増えるが、冷却水の確保が難しければ原子力発電所の稼動に制約が出ざるをえないためだ。
 
 河川の水で原子炉を冷ます欧州の原子力発電所は一層脆弱だ。代表例がスイスだ。スイスは2017年5月、稼動中の原子力発電所5基を順次閉鎖する脱核決定を下し、主な理由の一つとして冷却水枯渇の可能性を挙げた。特に、1972年に建設された老朽原発であるミューレベルク原子力発電所は、周辺を流れるアーレ河以外に冷却水を確保する代案がない点が問題として挙げられた。ミューレベルク原子力発電所は、スイスの原子炉5基のうち最も早く2019年に閉鎖される。