2014年5月11日日曜日

サイバー攻撃時に自衛隊が原発防護を 政府検討

 原子力発電所はコンピュータで制御されています。ポンプなどの機器類の起動停止、弁類の開閉及び開度調整、温度・圧力などの検出と調整等の一切はコンピュータからの信号・指令によって行われています。従ってそのコンピュータが故障したり、ソフトが書き換えられたりすれば誤作動を起し、大事故につながります。
 
 勿論、外部からのそうした攻撃を受けないように万全は期されている筈ですが、何ごとも完全無欠に行うということは困難です。
 実際に2010、イランのブシェール原子力発電所のコンピュータがハッカー(=クラッカー)による攻撃を受けていたことが判明しました。発電所の運転を妨害するのが目的です。
 そして2年後の2012月にニューヨーク・タイムズが、そのサイバー攻撃は米国とイスラエル政府が主導したものだと報じました。
 
 原発にはそうした危険も内在していて、コンピューターが誤作動を起した場合の被害ははかりしれません。
 
 政府は原子力発電所や通信施設など重要な社会インフラが大規模なサイバー攻撃を受けた場合を想定し、自衛隊を防護や反撃のために出動させることを可能にするための基準づくりに入ったということです
 防衛省は3月末に自衛隊内のサイバー攻撃対策のための「サイバー防衛隊」を90人規模で発足させましたが、自衛隊の活動電力や交通、通信などの社会インフラに依存している部分もあることからそうした重要インフラ防護できるようにすべきだとの意見が強まっているためです
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サイバー攻撃時:自衛隊が原発防護…政府検討
 毎日新聞 2014年05月09日
 政府は原子力発電所や通信施設など重要な社会インフラが大規模なサイバー攻撃を受けた場合を想定し、自衛隊を防護や反撃のために出動させることを可能にするための基準づくりに入った。発信元のコンピューターを特定した場合、誤作動を引き起こすウイルスを送り込むなどの「反撃」も可能かどうか検討している。
 
 防衛省は3月末、サイバー攻撃対策のための「サイバー防衛隊」を90人規模で発足させた。サイバー攻撃を受けても自衛隊の指揮命令系統を維持し、作戦行動に支障が出ないようにするのが目的で、防衛対象は防衛省や全国の自衛隊基地をつなぐネットワークシステムに限定されている。
 
 だが、自衛隊の活動は電力や交通、通信などの社会インフラに依存している部分もあり、「自衛隊が重要インフラを防護できるようにすべきだ」との意見が強まっている。
 
 サイバー攻撃は、ハッカーによる犯罪行為なのか、他国による攻撃なのか攻撃主体が見極めづらいのが特徴で、米国は自国内の政府機関への攻撃について「中国軍の関与」をたびたび指摘。米国や中国、英国は軍がサイバー攻撃能力を持っており、政府内では「国を守るための自衛隊がサイバー分野で自己防衛にとどまっていていいのか」との指摘も出ていた。
 
 こうした状況を受け、政府はどの程度の攻撃を受けた場合、自衛権行使の要件となる「武力攻撃」に該当するかなどの基準づくりを始めた。さらに、発信元のコンピューターにウイルスを送り込むなどの反撃が、「専守防衛」の枠を超えた過剰防衛になるかどうかについても検討を進めている。
 
 攻撃を受ける前から原発などを常時監視することも検討したが、憲法が定める「通信の秘密」に反する恐れがあるほか、大幅な人員増が必要となり現実的には厳しい。このため、基準づくりは、攻撃を受けた後を想定している。【飼手勇介】