毎日新聞が、「基準地震動」をアップした関電高浜原発3、4号の安全審査が優先される一方で、柏崎刈羽原発は、原発直下の活断層調査に時間がかかっているほか、地元自治体の反対の声も強く、7月の再稼働は困難な状況だと報じました。
柏崎刈羽原発の7月再稼動などは考える方がおかしいことで、福島原発が収束して過酷事故の原因が解明されないことには、審査自体が次の段階に進めないのは当たり前のことです。
また、柏崎刈羽原発の直下には多数の破砕帯が走っているため地盤が揺れやすく、中越沖地震では2000ガル以上の水平加震力が設備に対して掛かったことが実測されています。従って装置がどれだけの耐震力を持っているのかも最重要の課題です。
また電力各社は、液化天然ガス(LNG)などの負担が重く、2013年度の電力10社合計で燃料費が9%ほどアップしたと述べていますが、その殆どは円安に起因しているのではないでしょうか。
原発を再稼働させれば1基当たり数百億円収支が改善すると主張しているようですが、円安の影響は核燃料にも及ぶわけで説得力はなく、LNGなどの購入価格の引き下げにこそ努力すべきです。
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原発安全審査:柏崎刈羽、再稼働遠く
毎日新聞 2014年05月16日
原発の再稼働に向けた原子力規制委員会の安全審査で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の審査が優先される見通しとなった。一方、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を目指す東京電力は、原発直下の活断層調査に時間がかかっているほか、地元自治体の反対の声も強く、7月の再稼働は困難な状況だ。
◇電力各社、のしかかる燃料費
関西電力は、想定する最大の地震の揺れ「基準地震動」を引き上げることで、規制委の理解を得た。関電は「耐震計算だけで数カ月かかる」としているが、年度内に再稼働できる可能性もあり、次の冬の供給力としての期待が高まる。
高浜原発などの加圧水型(PWR)に比べて、東電福島第1原発と同じ型の沸騰水型(BWR)の審査は、追加設備の設置が求められていることなどから進んでいない。柏崎刈羽原発の審査が進まなければ、再値上げの検討も必要になるが、利用者だけでなく、景気の腰折れを懸念する政府が反発するのは必至だ。
電力各社は、火力発電所の燃料となる液化天然ガス(LNG)などの負担が重くのしかかっている。電力10社の2013年度決算では、燃料費が合計7兆7310億円と前年度から6515億円増加。原発の再稼働が実現すれば、1基当たり数百億〜1000億円規模で収支は改善するが、厳格な安全審査を前に、再稼働への道のりは厳しい。【安藤大介、久田宏、浜中慎哉】