原子力規制委員会の委員のうち島崎邦彦(68)と大島賢三(71)の両氏は、9月の任期満了(2年)をもって辞め、代わりに田中知東大大学院教授(64)と石渡明東北大教授(61)が就任します。新委員の任期は5年です。
規制委員は再任も可能なのですが、地震学者の島崎氏は原発の再稼働に向けた安全審査で、自民党や電力会社から「審査が厳しすぎる」という批判を受けていました。また大島氏は外交官の出身のため、自民党から「後任は原子力の専門家にすべきだ」という意見が出ていたということです。
今回そうした理由で再任を拒まれたと見られます。
島崎氏は日本地震学会会長や地震予知連絡会会長を歴任しましたが、地震学会は結局 阪神淡路大震災も東日本大震災も全く予知できなかったので、忸怩たる思いがあったものと思います。
電力会社は基準地震動を大きくさせられたことを不満としていますが、それでも700ガルなどと、東日本大震災や中越沖地震で実測された数値よりも大幅に小さい値で進んでいるのが実情です。
またしても現状追認の方向に舵が切られたという感じがします。
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「厳格審査」委員再任せず=原子力規制委、2人交代へ-政府
時事通信 2014年5月27日
政府は27日、原子力規制委員会の国会同意人事案を示し、9月に任期切れとなる委員2人を再任せず、交代させる判断をした。退任させる元地震予知連絡会会長の島崎邦彦委員は電力会社に厳しい姿勢で原発再稼働の前提となる安全審査に臨み、元国連大使の大島賢三委員は「原発の専門家ではない」との指摘を受けていた。
島崎氏は安全審査で、地震の揺れの想定について電力各社の甘さを相次いで指摘。審査を申請した各社は想定を見直さざるを得なくなった。当初半年程度とされた審査期間は大幅に長引き、原発は1基も再稼働していない状況が続く。
電力各社は島崎氏への不満を募らせ、自民党からは「バランスの取れた結論を出せる人材をそろえるのが大事」(幹部)として、公然と交代を求める声が上がっていた。
大島氏は国際連携や核安全保障を主に担当している。法律では、原子力安全に関する専門的知識が委員の要件となっており、「経歴から専門的知識はなく、違法な委員だ」(自民党衆院議員)と指摘されていた。