原子力規制委2日、福島原発凍土壁に関する特定原子力施設監視・評価検討会を開きましたが、凍土壁設置に伴う地盤沈下の影響などが明らかになりませんでした。
東電側は、次回の会合でデータを示し説明する考えを示しましたが、次回の開催日は未定で、6月の施工開始まで1カ月を切りましが認可の見通しは立っていません。
こうした基本的な問題がいまだに詰められていないのは不思議なことで、国や東電は行き当たりばったりで進めようとしているのでしょうか。経産省資源エネルギー庁の担当室長が、検討会の後 報道陣に対し、「6月着工の予定は変わりない」と述べたのも、なぜ着工予定日だけが不変なのか釈然としない話です。
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認可結論再び持ち越し 第一原発凍土遮水壁
規制委が安全性の説明不足指摘
福島民報 2014年5月3日
東京電力福島第一原発に建設予定の凍土遮水壁の本格施工が遅れる可能性のある問題で、原子力規制委員会は2日、特定原子力施設監視・評価検討会を開き、安全性に関する説明が不足しているとして認可の結論を持ち越した。凍土壁設置に伴う地盤沈下の影響などが明らかになっていないと判断したためで、東電に次回検討会での回答を求めた。東電と経済産業省が目標とする6月の施工開始まで1カ月を切ったが、依然として認可の見通しは立っていない。
検討会で東電は、原子力規制庁から質問を受けていた凍土壁設置に伴う地盤沈下の影響について「建屋は堅固な地盤上で、地盤沈下はおおむね10ミリ以内だ。(建屋が傾くような)不等沈下は起きない」と説明した。
規制委の更田豊志委員は、原子炉建屋とタービン建屋の沈下に大きな差が出る可能性や、海側の凍土壁が機能を失った場合、建屋が傾く可能性を指摘。「設置側には(安全性を)立証する責任がある」と述べた。東電側は、次回会合でデータを示し説明する考えを示した。
次回検討会の開催時期は未定。経産省資源エネルギー庁原発事故収束対応室の新川達也室長は検討会後、報道陣に対し「6月着工の予定は変わりない」と述べ東電と協議する考えを示した。
「東電の論理破綻」 凍土遮水壁設置問題
福島民報 2014年5月3日
東京電力福島第一原発の汚染水問題の抜本的対策とされる凍土遮水壁の設置をめぐり、原子力規制委員会と東電の議論は混迷したままだ。凍土壁設置に伴う地盤沈下の影響以外の課題でも両者の認識には溝がある。
2日に開かれた規制委の特定原子力施設監視・評価検討会で、東電側は凍土壁を設置後に原子炉建屋内の汚染水を除去すると主張した。原子炉建屋内での廃炉作業を円滑に進めるためだ。これに対し、更田豊志委員は放射線量が高い原子炉建屋内で作業する技術が確立されていないと指摘。「悪影響が出た場合、(凍土壁の)撤退を考える必要がある」と批判した。検討会に出席した有識者の一人は「東電の論理は破綻している。凍土壁の必要性が全く示されていない」と声を荒らげる場面もあった。
原子力規制庁の金城慎司東電福島第一原発事故対策室長は検討会後、「(規制委側が)凍土壁の効果より安全性を優先している方向性が見えてきた」と語るにとどめた。