2014年5月9日金曜日

福島汚染水 遮水壁を越えて専用港へ流出

 東電が福島原発の専用港に建設している遮水壁は、護岸に沿ってびっしりと鋼管を壁状打ち込んで、護岸と壁のすき間には水中でも固まるコンクリートを流し込んでふさぐ工法で行っています。鋼管杭は、幅約八百メートルに渡りほぼ打ち終わり、コンクリートの流し込みも進んでいて、完成に近い状態ということです。
 
 ところが専用港内監視ポイントで測定した結果海水から放射性セシウムやストロンチウムなどがかなり高い濃度で検出されました
 東電は「まだ遮水壁が完成していないからだ」と説明したようですが、遮水壁が完成して仮にそこから海への流出がなくなっても、地下水はいくらでもその壁を迂回して海へ流出します。例えていえば、川の流れの一部に板を立てて見ても、それで流れの総量が変わるわけはありません。
 遮水壁で汚水の流出が止められるという、国や東電の考え方は理解できません。
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遮水壁を越えて専用港内漏出か 福島第一汚染水、依然検出
東京新聞 2014年5月8日
 東京電力が、福島第一原発の専用港内に新設した監視ポイントで、放射性セシウムなどが海水としてはかなり高い濃度で検出されている。漏えい源の取水口周辺をコンクリートで埋め立てる作業が進み、海側遮水壁もほぼ完成。汚染はほぼブロックされるはずなのに、現実は厳しそうだ。
 
 福島第一では、護岸近くの地下トンネルにたまった高濃度汚染水が地下水に押されて海に漏れることが大きな問題になってきた。
 漏出を止めるため、東電は、護岸にびっしりと鋼管を打ち込んで壁状にし、護岸と壁のすき間には水中でも固まるコンクリートを流し込んでふさぐ工事を進めてきた。約八百メートルに及ぶ工事は、一部を残して完成に近づいた。
 
 しかし東電が遮水壁の外側に新設した観測点では、五日に採取した海水から一リットル当たり四〇ベクレル以上のセシウム、一四〇ベクレル以上のストロンチウムなどを検出。いずれも、法令で放出が認められている基準を超えてはいないが、海水で薄まる前の漏れた水自体の濃度はもっと高いと推測される。
 
 さらに、堤防に囲まれている専用港内の海水は二日で入れ替わるとされるが、外海に近い港中央の海水でも数ベクレルとはいえセシウムが検出されている。今もセシウムなどによる汚染は継続している可能性が高い。
 
 七日の記者会見で東電にただすと、小林照明原子力・立地本部長代理は「遮水壁や埋め立てはまだ完全に終わっておらず、壁の内外での水の行き来があり、セシウムなどの検出が続いているのかもしれない。(新たな観測点は)データがまだ少ないので、よく分からない。もう少し監視していく必要がある」と答えた。 (清水祐樹、小倉貞俊)

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