2014年5月3日土曜日

川内原発再稼働 噴火予知は適合性審査とは別物と

 
 原子力規制委が優先して審査を進めていて再稼働第1号と見られている九・川内原発には、周辺の火山噴火時に火砕流が到達する可能性があります。
 それに対して九州電力は安全審査で、広い範囲に火砕流が及ぶような大規模な噴火の兆候を、地震や地殻変動の観測を充実することで捉え、必要な対応ができると説明しましたが、4月29日に開かれた火山学会の委員会では、「現在の観測態勢では、大規模な噴火の規模や時期を事前に正確に把握することは難しい」とされました
※ 2014年5月1日火山活動の予測は無理 火砕流が川内原発を襲う 
 
 原子力規制委昨年7月にまとめた新規制基準では、「火砕流が襲う可能性が明確に否定できない場合は、立地不適」とするということなので、当然「不適」の判断が下されなければならない筈ですが、30日に国会内で行われた環境団体、住民団体対政府原子力規制庁、経産省資源エネルギー庁交渉では、なんと「噴火予知は適合性審査と別物」という、意味不明の発言が繰り返されて、「立地不適」どころか川内原発は再稼動に向けて着々と進められていることが分かりました。ただし書類不備のため、その分認可は遅れる予定ですが(添付記事参照)。
 
 川内原発がもしも火砕流に見舞われれば、全核燃料が燃焼して空中に放出されるので、事故の規模は福島の数百倍に上るといわれています。全世界を放射能で汚染します。
 これほどの「危険性」が、一体何故「認可作業とは別物」として無視されるのか、適合審査は過酷事故を防止するのが目的の筈なのに、不可解というしかありません。
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川内原発再稼働 噴火予知は適合性審査と別物
田中龍作 BLOGOS 2014年4月30日
 原子力規制委員会が優先して審査を進め、再稼働第1号と見られている九電・川内原発。最終段階となる地元合意は鹿児島県議会、薩摩川内市議会とも自民党が圧倒的多数を占めていることからすんなり行きそうだ。
 鹿児島県は6月県議会で賛成陳情を採択し、伊藤祐一郎知事が7月初旬にも再稼働へのGOサインを出すものと見られる。
 
 だが肝心要の巨大噴火については、規制委員会に火山の専門家がいないことなどから、九電の主張通り「予知可能」「対応可能」で押し切られる公算が大きい。
 環境団体、住民団体(※脚注)がきょう、国会内で対政府交渉を持ち、川内原発の安全性を追及した。政府側は原子力規制庁、経産省資源エネルギー庁から7人が出席した―
市民:「島崎委員は『(火山活動の)モニタリングをして何か異常を感知した時にどう判断するのか、判断基準をあらかじめ決めておくことが重要』と発言した。九州電力が示した基準をそのまま受け入れることはできないという中で。モニタリングの判断基準がないと、破局的噴火が起こりうるタイミングで判断ができないわけじゃないですか?当然それがないと審査が通らないと思うんですが?」
政府:「これ(火山活動のモニタリング)については適合性審査に直接的に結びつくものではありません。別物です」。
市民:「モニタリングが不可能だったら、設置許可はできないんじゃないですか?」
政府:「設置許可とは別の話です」。
 
 適合性審査とはかくもいい加減なものなのか。筆者は開いた口が塞がらなかった。姶良カルデラが噴火すれば原発が火砕流に飲み込まれる可能性があることを火山学者は指摘している。そうなれば事故の規模は福島の数百倍に上る。モニタリングによる判断基準なしで、どうして安全に運転できようか。
 政府の答弁に耳を傾けていた男性が、やおら立ち上がってマイクを握った―
 「私、鹿児島から来たんですが、この論議聞いてると噴火なんてそんな近いうちに起こらないよ、という前提でしゃべっているように聞こえるんです。そんな甘っちょろいものじゃないって事を分かって欲しいです。僕ら桜島のふもとに住んでますが、そもそも設置許可の件で求めるものじゃないと言ってる。なぜそんなことが言えるんですか?何も対処方針を出す基準が無くてね、つまり火山に対して何も対策が無いって事です」。
 
 火山帯だらけの日本で原子力規制委員会になぜ火山の専門家がいないのか? 不思議だ。いると不都合なのだろうか。
 住民・環境団体から「有識者(火山の専門家)を交えた検討会議を開かないのか?」と問われると規制庁の官僚は「その質問はアレなんで・・・」と逃げた。
 責任感も何もあったものではない。適合審査もいい加減、担当する役人もいい加減。「原発事故はまた起きる」と確信した、きょうの対政府交渉だった。
(※主催団体)
反原発・かごしまネット / グリーン・アクション / 美浜の会 / FoE / 福島老朽原発を考える会 / 原子力規制を監視する市民の会
 
 
川内原発の書類 規制委が修正求める
NHK NEWS WEB 2014年5月2日
原子力発電所の運転再開の前提となる安全審査が優先的に進められている鹿児島県の川内原発について、原子力規制委員会は、九州電力が30日に提出した書類に不備があるとして修正を求めました。九州電力の対応次第では、審査の終了まで時間がかかることも予想されます。
 
原子力規制委員会は、川内原発1号機と2号機について、ことし3月、運転再開の前提となる安全審査を優先して進めることを決め、九州電力は、これまでの審査で出された指摘を踏まえて作成した書類を30日に提出しました。
これについて2日開かれた規制委員会の定例会で、担当の職員が「書類には書くべき項目がきちんと書かれていないなど不足がある」と報告しました。
不備は、航空機が墜落した場合の火災の想定や、ポンプなどの機器が火災の際どの程度の温度まで耐えられるかのデータなどだということです。
審査を担当する更田豊志委員は「不備を指摘したうえで再補正してもらう」と述べ、九州電力に書類を修正して提出するよう求め、今月8日に審査会合を開くことになりました。
規制委員会はこれまでの審査結果をまとめた「審査書」を今月中にも作成し、そのあと運転再開に必要な許可を早ければ来月末にも出す可能性があります。
しかし、今回の書類の修正などを巡る九州電力の対応次第では、審査の終了まで時間がかかることも予想され、運転再開には自治体の同意の手続きなども残されていることから、夏までに再開できない可能性もあります。