2014年5月6日火曜日

幌延の深地層研 地下500メートルまで掘削へ 

  北海道天塩郡幌延町で、幌延深地層研究センターが、高レベル放射性廃棄物の処分技術を研究するために掘った坑道は、地下350m付近まで完成していましたが、それを地下500メートルまで掘削する方針にしたということです。
 センターの上部機関:原子力開発機構9月に策定する研究施設計画に盛り込みます。
 
 この研究では、道及び幌延町との間で、本施設に放射性廃棄物が持ち込まれることはなく、処分場とすることもなく、研究終了後は地下施設を埋め戻すとする協定を締結しています。この種の施設は、岐阜県瑞浪市と茨城県東海村にもあります。
 
 放射性物質の深地層処分は数万年~10万年超期間の保管を要しますが、未来の予測困難ため過去に遡って変化を調査し、未来を予測するという手法で行うものです。幌延・瑞浪とも放射性廃棄物を持ち込むことはできないため非放射性同位体を用いた研究を行っており、2014年度からは約100℃の熱源を入れた実物大容器を埋没し、容器の腐食などを調査する予定です。
 実際に放射性物質を持ち込んだ研究は東海村で行われています
 
 因みに瑞浪は花崗岩質の硬い地層であるのに対し、幌延は堆積岩質の比較的軟らかい地質で、坑道には塩分を含む地下水が湧出しているということなので、とても超長期間の埋設が可能な坑道ではありません。
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地下500メートルまで掘削へ 幌延の深地層研 期間延長の可能性
北海道新聞 2014年5月5日
 高レベル放射性廃棄物の処分技術を研究する幌延深地層研究センター(宗谷管内幌延町)について、運営する日本原子力研究開発機構が、坑道を現状より百数十メートル深い地下500メートルまで掘削する方針を固めたことが4日分かった。500メートルは当初から計画されていたものの、予算不足などから到達は困難とみられていた。2021年ごろまでと定められた研究期間が延長される可能性もある。 
 
 掘削の方針は原子力機構が9月に策定する研究施設計画に盛り込む。機構で処分研究を統括する野村茂雄理事(元日本原子力学会長)が、4月中に宮本明幌延町長や複数の町議に方針を伝えた。4月に決まった国のエネルギー基本計画は核のごみの処分研究を原子力政策の最重要課題と位置付けており、機構は、地下処分研究の推進は国の理解を得やすいと判断したとみられる。 
 
 幌延深地層研究センターは、放射性廃棄物を持ち込まないなどとした機構と幌延町、道の3者協定に基づき01年に研究を開始した。3者協定の前提となった機構の当初計画は研究期間を「20年程度」と明記しており、21年ごろには研究を終え、地下施設を埋め戻す約束になっている。