2014年5月25日日曜日

「鼻血、医学的根拠ある」と専門家ら

 
 漫画「美味しんぼ」で鼻血の頻発などが描かれたことをめぐり、専門家や健康被害を訴える当事者が23日、国会内で記者会見を開き、原発事故と鼻血の関連について「因果関係は否定できない」と反論しました。
 
 北海道がんセンターの西尾正道名誉院長は「高線量被曝による急性障害に論理をすり替え、鼻血との因果関係を否定する『専門家』がいる」と批判し、「放射性微粒子が鼻腔内に付着して鼻血が出る現象はあ」と指摘しました。
 
 がん生物学崎山比早子元国会事故調委員「汚染地域は広範にあり、健康障害への懸念は鼻血どころでない。正確な情報を」と説きました
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美味しんぼ「鼻血、医学的根拠ある」 専門家ら反論会見
朝日新聞 2014年5月24日
 人気漫画「美味しんぼ」で東京電力福島第一原発事故後の鼻血の頻発などが描かれたことをめぐり、専門家や健康被害を訴える当事者が23日、国会内で記者会見を開いた。政府や福島県が「風評被害を助長する」などとして事故と鼻血の関連を否定していることに対し、「因果関係は否定できない」と反論した。
 
 住民の自主的な甲状腺検査に協力してきた北海道がんセンターの西尾正道名誉院長は「高線量被曝(ひばく)による急性障害に論理をすり替え、鼻血(との因果関係)を否定する『専門家』がいる」と批判。「放射性物質が付着した微粒子が鼻腔(びくう)内に入って低線量でも鼻血が出る現象はあり、医学的根拠がある」と指摘した。
 
 記者会見に電話で参加した福島県内の母親は「漫画全体を読み、福島への愛情を感じた。子どもに鼻血が出ても、話を聞く前から因果関係を否定するような人たちに私たちは本当のことは言わない。国の責任で鼻血を含めた健康調査をしてほしい」と訴えた。
 
 崎山比早子・元国会事故調査委員会委員(がん生物学)は「汚染地域は広範にあり、健康障害への懸念は鼻血どころでない。正確な情報を」と説いた。主催の市民団体代表は「鼻血の表現ばかりに焦点を当てて攻撃し、健康障害を訴える声を抑えつけている」と非難した。
 
 
美味しんぼ「鼻血ありえる。ストレスでは出ない」風評被害にもあたらないと専門家 
The Huffington Post 2014年05月24日 
(前 略) 西尾氏は会見で、2011年7月から9月までの間に福島から札幌に検査にきた4000〜5000人に接している際に、子供が鼻血を出しているという話を母親らから聞いたと述べた。
 西尾氏はさらに、低線量被曝でも鼻血がでる現象はあり得るとしたうえで、「被ばくと鼻血は関係ない」「風評被害」とする政府を批判。鼻血は現在の状況が原因で起きているわけではないとして、風評被害には当たらないという考えを示した。
 
(西尾氏)
 「鼻血は放射線のせいではないという結論を専門家が出した。とんでもない。がんの専門家もいないし、本当の意味での放射線の専門家もいない。放射線を治療している人も誰もいない。
 僕は3万人の患者さんを40年間治療して、日本一放射線の患者を扱った医者の一人です。放射線の光の部分もわかるし、影の部分もわかります。チェルノブイリの当時の新聞では、子供に体調異変が起こり大量の出血という報道もされている。なぜこのような事実を隠してまで、風評被害と言っているのか。
 風評被害にはならないです。今起こっていることではないですから。甲状腺がんは内部被曝そのものでしょう。外部被曝ではないですよ。
 鼻血はストレスによるものだともいわれていますが、鼻血というものは、ストレスでは出ない。メンタルケアの「いろは」もわかっていない。ストレスで鼻血が出たという報告は全くありません」
 
 
鼻血論争について
         北海道がんセンター名誉院長 西尾正道 2014年5月14日
巷では、今更になって鼻血論争が始まっている。事故後は鼻血を出す子どもが多かったので、現実には勝てないので御用学者は沈黙していたが、急性期の影響がおさまって鼻血を出す人が少なくなったことから、鼻腔を診察したこともない放射線の専門家と称する御用学者達は政府や行政も巻き込んで、放射線の影響を全否定する発言をしている。
 
しかし、こうしたまだ解明されていない症状については、根源的に物事を考えられない頭脳の持ち主達には、ICRPの基準では理解できないのです。ICRPの論理からいえば、シーベルト単位の被ばくでなければ血液毒性としての血小板減少が生じないので鼻血は出ないという訳です。
 
しかしこの場合は、鼻血どころではなく、紫斑も出るし、消化管出血も脳出血なども起こります。しかし現実に血小板減少が無くても、事故直後は鼻血を出したことがない多くの子どもが鼻血を経験しました。伊達市の保原小学校の『保健だより』には、『1学期間に保健室で気になったことが2つあります。 1つ目は鼻血を出す子が多かったこと。・・・』と通知されています。またDAYS JAPANの広河隆一氏は、チェルノブイリでの2万5千人以上のアンケート調査で、避難民の5人に1人が鼻血を訴えたと報告しています。こうした厳然たる事実があるのです。
 
この鼻血については、次のように考えられます。通常は原子や分子は何らかの物質と電子対として結合し存在しています。セシウムやヨウ素も例外ではなく、呼吸で吸い込む場合は、塵などと付着して吸い込まれます。このような状態となれば放射化した微粒子のような状態となり、湿潤している粘膜に付着して放射線を出すことになります。そのため一瞬突き抜けるだけの外部被ばくとは異なり、準内部被ばく的な被ばくとなるのです。
 
微量な放射線量でも極限で考えると、原子の周りの軌道電子を叩きだし電離を起こします。この範囲が広範であれば、より影響は強く出ます。被ばく線量もさることながら、被ばくした面積や体積がもろに人体影響に関与します。
 
事故後の状態では、放射性浮遊塵による急性影響が真っ先に出ます。放射性浮遊塵を呼吸で取り込み、鼻腔、咽頭、気管、そして口腔粘膜も含めて広範囲に被ばくすることになりますから、最も静脈が集まっている脆弱な鼻中隔の前下端部のキーゼルバッハという部位から、影響を受けやすい子どもが出血することがあっても不思議ではありません。
 
また咽が痛いという症状もこうした機序によるものです。この程度の刺激の場合は粘膜が発赤したりする状態にはならず、診察しても粘膜の色調変化は認められないが、粘膜の易刺激性が高まるため、広範な口腔・咽頭粘膜が被ばくした場合は軽度の痛みやしみる感じを自覚する訳です。
 
 受けた刺激を無視し、採血や肉眼的な粘膜炎所見などの明らかな異常がなければ、放射線が原因ではないとして刺激の実態をブラックボックス化するICRPの盲信者は科学者としては失格です。ICRPの健康被害物語では現実に起こっている被ばくによる全身倦怠感や体調不良などのいわゆる「ぶらぶら病」も説明できません。そのため何の研究や調査もせずに、精神的・心理的な問題として片付けようとする訳です。今後、生じると思われる多くの非がん性疾患についても否定することでしょう。鼻血論争は、未解明なものは全て非科学的として退け、自分たちの都合のよい内容だけを科学的と称する非科学的なICRP信奉者の発言の始まりでしかないと思います