2014年5月10日土曜日

凍土遮水壁の安全性に疑問 福島県民会議

 福島第一原発の廃炉工程を監視する廃炉安全確保県民会議8日、国と東電の出席のもとで開かれました。
 その中で汚染水問題の抜本対策とされる「凍土遮水壁」について、安全性を疑問視する指摘が相次いで、不測の事態に備えた対策国と東電に強く求められました。
 凍土遮水壁設置により地下水を止めることで原子炉建屋が地盤沈下しないか、あるいは建屋地下にたまった汚染水の水位と建屋外の地下水位との関係で、建屋から周囲に汚染水が漏れ出す恐れがないかなどについて、綿密に検討することなどです。
 
 また汚染水の漏洩が繰り返されたり、汚染水から放射性物質を除去できる「多核種除去設備(ALPS)」で、事故が頻発して汚染水の処理が進まないことについても、批判が集中しました。
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凍土遮水壁の安全性に疑問視 国、東電に対策求める
福島民友ニュース 2014年5月9日
 東京電力福島第1原発1~4号機の廃炉工程を県民の目線から監視する廃炉安全確保県民会議は8日、福島市で国と東電を交えた会合を開いた。汚染水問題の抜本対策とされる「凍土遮水壁」について、委員の原発周辺市町村の住民や各種団体からは安全性を疑問視する指摘が相次ぎ、不測の事態に備えた対策を国と東電に強く求めた。
 凍土遮水壁は、設置により地下水を止めることで原子炉建屋が地盤沈下する可能性が懸念されており、委員は「本当に安心していいのか」と迫った。東電側は「そう簡単に地盤沈下はしない」と主張したが、別の委員からも安全性に関する十分な検証と対策を求める意見が続出した。
 建屋への地下水の流入量が減ると建屋地下にたまった汚染水が圧力の関係で逆流、周囲の土に漏れ出す恐れもある。出席した有識者は建屋内の水位と周辺の地下水量の微妙なバランスを保ちながらの慎重な運用を求めた。
 汚染水から62種類の放射性物質を除去できる汚染水処理設備「多核種除去設備(ALPS)」で頻発している処理の停止や、人為ミスによる汚染水の漏えいが相次ぐ現状には批判が集中した。県民会議の議長の渡辺明福島大特任教授は会合を総括し、汚染水対策をめぐる一連のトラブルについて早急に改善策を講じるようあらためて要請した。