2014年11月7日金曜日

再処理 新工程無理|福島廃炉作業127件の法令違反|指定廃棄物福島第1周辺へ|浜岡原発圧力容器内5か所変形

 日本原燃が10月31日に申請した核燃料再処理工場の完工までの新工程に対し、原子力規制委員会が実現性を疑問視する見解を示しています。原燃は、完工時期を2016年3月に変更すると規制委に届けましが、規制委の審査期間を申請後から約3カ月と想定するなどしてあり、規制庁は「審査人員に限りがあり、原燃社内の工程だけを考慮したむちゃな想定だ」と反発しています
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 福島原発の事故収束・廃炉作業で、福島労働局は今年4~8月127件の労働関係の違反を確認しました。事故以降の累計は347件になります
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 指定廃棄物の最終処分場候補地選定問題で、塩谷町の見形和久町長が県内24人の市町長に対し、東京電力福島第1原発周辺に指定廃棄物集約して貯蔵すべきだと提案していたことが、5日分かりました。
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 中部電力は5日、浜岡原子力発電所3号機原子炉圧力容器内にある気水分離器の金属製揺れ止めの一部、計5か所に変形が見つかり、うち1か所は分断していたと発表しました。外部への放射能の影響はないということです
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再処理工場新工程 規制委が実現性疑問視
  河北新報 2014年11月06日
 日本原燃が10月31日に申請した使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の完工までの新工程に対し、原子力規制委員会が実現性を疑問視する見解を示していることが5日、分かった。完工時期の変更は22回目だが、新工程も出だしからつまずいた形だ。
 原燃は、完工時期を10月から2016年3月に変更すると規制委に届けた。原子力規制庁によると、原燃は面談で、新規制基準適合性審査のうち設計基準の補正を11月中に、重大事故対策の補正を12月中に、それぞれ申請すると説明した。
 その上で、原燃は審査期間を申請後から約3カ月と想定し、設計内容に関する工事計画も15年6月までに認可されるとの見通しを示した。
 規制庁は「審査人員に限りがあり、原燃社内の工程だけを考慮したむちゃな想定だ」と反発。原燃がことし1月の申請時に見込んだ約半年の審査期間が既に経過したことを踏まえ、「実質3カ月で審査が終了するとの計画は、審査会合で追加の指示を受ければ実現不可能になる」と原燃に指摘した。
 再処理工場は耐震設計の前提となる基準地震動の審査が進んでおらず、仮に地震動が上方修正されれば設計全体の見直しを迫られる。原燃は規制庁に「経営層を含め、必要な審査期間を見込んだ工程と判断した」と説明している。
 
 
福島第1原発の廃炉作業で127件の労働関係違反
福島民友ニュース 2014年11月6日
 東京電力福島第1原発の事故収束・廃炉作業で、福島労働局は今年4~8月、現場の監督指導で127件の労働関係の違反を確認した。事故以降の累計は347件。線量計の着け忘れや全面マスクのフィルターが外れたまま作業させた事例などが報告されている。同局が5日、福島市で開いた福島地方労働審議会で示した。
  同局は月1回以上の立ち入り調査を行い、今年4~8月は136事業者のうち、85事業者に違反があった。事故以降の違反の累計は234事業者。
  違反の具体例をみると、労働条件は、放射線業務の時間外労働が1日2時間を超えたケースや、時間外労働に支払う割増賃金の算定に危険手当を含めず本来の金額を下回ったケースがあった。安全衛生面では、クレーンなどの機械設備について定期点検を実施していなかったことを指摘した。
  委員の今泉裕連合福島会長は「廃炉作業がさらに困難になる中、県民にとって人材確保が最大の心配事。作業員の訓練や知識の習得を長期間継続する取り組みが重要だ」と指摘した。引地睦夫局長は「現場の安全が第一。しっかりと監督指導に取り組む」と述べた。 
 
 
指定廃棄物の行方 福島第1周辺へ集約を
    塩谷町長、栃木県内首長に理解求める
下野新聞 2014年11月6日
 放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場候補地選定問題で、塩谷町の見形和久町長が県内24人の市町長に対し、指定廃棄物は拡散させず東京電力福島第1原発周辺に集約して貯蔵すべきだと提案していたことが、5日分かった。同町が指定廃棄物の同原発周辺での処理を主張したのは初めて。
 
 見形町長は9日に宇都宮市で開催される県指定廃棄物処理促進市町村長会議を前に4、5の両日、町の考えをまとめた冊子を持参して24市町を訪問。塩谷町内に選定された候補地の白紙撤回と、指定廃棄物を同原発周辺に集約するべきだとの提案に理解を求めた。大田原、鹿沼、さくら、野木の4市町では市町長本人と面会した。
 見形町長は市町長らに冊子を手渡し、水源地は最終処分場の適地でないこと、選定過程が適正でないことなどを挙げ「放射性廃棄物は拡散させるべきでない」「中間貯蔵施設の設置が計画されている福島第1原発周辺の土地に栃木県など5県の指定廃棄物も貯蔵すべきだ」などと伝えた。
 見形町長は下野新聞社の取材に「放射性物質を拡散させずに処理することは世界の大勢。白紙撤回を求める署名に応じてくれた17万人の期待に応えないといけない」と述べた。
 環境省の照会に対し、福島県はこれまで同県外からの指定廃棄物受け入れを拒否する考えを伝えている。
 
 
浜岡原発3号機 圧力容器内5か所変形
読売新聞 2014年11月6日
 中部電力は5日、浜岡原子力発電所3号機(御前崎市)の原子炉圧力容器内にある気水分離器の金属製揺れ止めの一部、計5か所に変形が見つかり、うち1か所は分断していたと発表した。外部への放射能の影響はないという。
   
 気水分離器は、湿分の少ない蒸気をタービンに送るため、蒸気に含まれる水分を分離する装置。蒸気が通る円形のチューブ(長さ2・7メートル、ステンレス鋼製)225本の上部を板状の揺れ止め(幅1・3センチ、同)で溶接し、固定してある。
 変形はいずれも内側に曲がっていた。同社は今後、詳しく原因の調査を行う。
 3号機は1987年に運転を開始した。原子炉内の経年劣化の状況を調べるため、7月から構造物検査を進めている。