関西電力が老朽原発の高浜1、2号機について、「特別点検」を実施することで原則40年とされている原子炉容器を含む発電設備の運転期限の延長を検討していることが分かりました。
特別点検を行い必要な補修を行って運転期間を延長するのでは、とても採算が取れないだろうというのがこれまでの見方でした。
しかし廃炉を決めれば会計処理において多額の損失を計上することになるので、それは企業としてはできれば避けたいし、その後の廃炉費用・核燃料の処理などにも多額のコストが掛かるので、少しでも先延ばしする場合の損得計算をするという考え方と思われます。
工業製品の耐用年数が30年を超えるということは通常考えられません。原子炉のように過酷な使用条件であればなお更です。それを惰性で10年も超えた上に、さらに40年以上も使い続けようという発想は尋常ではありません。原状追認型の規制委の在り方がもたらしたものです。
何よりも肝心の原子炉容器は高温・高圧に加えて中性子の照射を受け続けているので、靭性を失う劣化(ガラス化など)を起し割れやすくなっています。
「特別点検」で果たして原子炉の残存強度(脆性遷移温度など)が把握できるのでしょうか。そしてそれを判定する規制委は十分な知識と真理への忠実さを持っているのでしょうか。
とにかく経済性だけで運転の延長を検討し、それを規制委に判断させるというのは大変に危険です。
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高浜原発2基、40年超運転検討 関電、特別点検で調整
東京新聞 2014年11月13日
関西電力が、老朽原発の高浜1、2号機(福井県)について、原則40年とする運転期限の延長を検討し、原子炉容器などの劣化を詳細に調べる「特別点検」を実施する方向で調整していることが12日、関係者への取材で分かった。年内にも判断する見通し。
国内の原発48基のうち、関電高浜1、2号機、美浜1、2号機(同県)など計7基が運転開始から40年前後経過。特別点検は運転延長を申請する際に必要で、関電が特別点検を決めれば、電力会社が老朽原発存続の方向性を示す初のケースとなり、他社の判断にも影響を与えそうだ。ただ、古い原発の稼働には安全性の面から疑問の声も上がっている。