鹿児島県議会の原子力安全対策等特別委員会は6日、深夜までかかり川内原発再稼働を求める陳情1件を賛成多数で採択し、再稼動に反対する陳情と請願計31件を反対多数で不採択としました。
鹿児島県議会は7日、臨時議会本会議を開き、「NO」のプラカードを掲げた傍聴者百数十人から「再稼働反対」のシュプレヒコールが続く中で、川内原発(1、2号機)の再稼働を求める陳情を採択しました。
伊藤祐一郎鹿児島県知事は、臨時県議会の本会議後に記者会見し、川内原発1、2号機の再稼働について「やむを得ない」と述べ、同意を表明しました。これにより地元同意の手続きが事実上完了しました。
日本火山学会は2日、原発を火砕流が襲うような巨大噴火について、噴火予測の可能性や限界、あいまいさを十分に考慮して、現行の審査基準を見直すよう提言しました。これは規制委が川内原発が火山条項をクリアしていると判断したのは間違いであることを指摘したものに他なりません。
また住民の避難計画でも、受入側施設への連絡・確認が殆ど行われていないことが最近確認され、避難用の交通機関の確保の見通しがあるのかも大いに疑問視されています。増して避難弱者たちが確実に避難できるの極めて心配です。
こうして審査合格に対する疑念が払えずに、避難計画の実効性が疑われる状況の中で、しゃにむに再稼動に向かおうとしています。
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川内再稼働 賛成を採択
東京新聞 2014年11月7日
鹿児島県議会は七日、臨時議会本会議を開き、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(同県薩摩川内市)の再稼働を求める陳情を採択した。これを受け、伊藤祐一郎知事が七日中に同意を表明する見通し。知事が示した手順に従った形で、地元同意の手続きが事実上完了し、再稼働が確実になる。
二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故を教訓にした新規制基準の下、再稼働するのは初めてになる。ただ原子力規制委員会の審査などが残っており、再稼働は年明け以降の見通し。
伊藤知事は県議会の同意を受け「県議会の意見が示され、重く受け止める。考えを整理して本日中に表明したい」と述べた。
六日の原子力安全対策等特別委員会では、再稼働を求める陳情一件を賛成多数で採択、反対する陳情と請願計三十一件を反対多数で不採択とした。野党の反発が強く、採択は深夜までずれ込んだ。
七日の本会議で、野党側は「福島の事故の検証が終わらない限り(事故時の)対応策は構築できない」などと批判したが、過半数を占める自民党県議団などが賛成し、再稼働を求める陳情が採択された。
これまでの住民説明会では、火山噴火の影響など原発の安全性や、避難計画の不備など防災への不安を示す意見が相次いだ。
原発の半径三十キロ圏に入る自治体の議会や住民からは、事故時の被害が広範囲に及ぶ可能性があるため、同意が必要な「地元」の範囲に加えるよう求める声も強い。
伊藤知事は五~七日の日程で、再稼働の是非を議論する臨時議会を招集。知事は薩摩川内市議会、同市長、鹿児島県議会、知事の順で同意を判断する方針を示していた。
<川内原発> 鹿児島県薩摩川内市にある九州電力の加圧水型軽水炉。1、2号機の2基あり、出力は各89万キロワット。1984年と85年に運転開始した。原子力規制委員会は今年7月、2基について合格証の原案となる審査書案をまとめ、事実上、新基準に初めて適合した原発となった。事故に備えた対策が必要な原発の半径30キロ圏の住民は、同県9市町の約22万人。9市町は住民の避難計画を策定したが、実効性には疑問の声も出ている。
議場内外で怒号「メリットあるか」「命が大事」
東京新聞 2014年11月7日 夕刊
川内原発の再稼働を求める陳情を採択した鹿児島県議会本会議は、採択と伊藤知事の閉会あいさつの間、「NO」のプラカードを掲げた傍聴者百数十人から「再稼働反対」のシュプレヒコールが続いた。県庁周辺にも反対住民らが集まり「脱原発」を訴えた。
知事らの発言がまったく聞こえないほど、激しい抗議だった。議会棟と県庁舎は、県職員や制服姿の警察官らが正面玄関を封鎖し、各フロアの出入り口にも立つなど物々しい雰囲気に。傍聴席は議会が開会した瞬間から「しっかり自分で考えろよ」「そんなに原発にメリットがあるのか」などと怒号が飛び交い、議長の言葉をかき消した。
議場の前では再稼働に反対する市民ら四百人以上が集会を開き、再稼働に抗議を繰り返した。
傍聴に駆けつけた同県霧島市の看護師、盛園尚利さん(39)は「人の生命にかかわる大事なことが、早く進みすぎる。何が進んでいるのかが認識されないうちに、手続きが進む。国や県が好き勝手やっている」と憤った。
川内原発、年明け以降再稼働へ 鹿児島知事が同意
東京新聞 2014年11月7日
鹿児島県の伊藤祐一郎知事は7日、臨時県議会の本会議後に記者会見し、九州電力川内原発1、2号機(同県薩摩川内市)の再稼働について「やむを得ない」と述べ、同意を表明した。知事の同意で地元手続きは完了した形だが、原子力規制委員会の審査などが残っており、年明け以降に再稼働する見通し。
ただ事故時の避難計画には不備が目立つほか、被害を受ける可能性がある周辺自治体の意向が反映されないなど、多くの課題も残っている。
国内の原発は昨年9月以降、全48基が停止中。原発の新規制基準の下、初の再稼働となる。