2014年11月15日土曜日

経産省は電気料金自由化後も原発を優遇(続報)

 経産省は13日有識者会議「原子力小委員会」で、電力料金の完全自由化後も原発を擁護するため、原発を持つ電力会社の収益を保証したり、廃炉にする場合の損失計上についての優遇策などを盛り込んだ「中間整理」の素案を提示しました。
 委員会は年内に「中間整理」をまとめ年明けから優遇策の制度設計を議論するということです
 
 東京新聞が13日に引き続き政府の原発優遇策を報じました。
※ 11月14日 電力自由化後は電気料上乗せ分で原発を保護
 
 これでは電力自由化後も、原発のコストでこれまで意識的に除外されていた諸費用が全て自由化後の電力料金に加算されることになるため、現在アメリカの約2倍で世界一高い日本の電気料金が、自由化した後もそれほど安くならないことが予想されます。
 
 これまでは総括原価方式の中でも、原発の発電コストを見掛け上低くするために意識的に除外してきた項目について、自由化後は将来における補填が困難になるために慌てて電気料金に紛れ込ませようというもので、見苦しいことです。
 またこうした電力会社に不利になることは殆ど報じないという大手各紙の姿勢も見苦しいことです。
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原発 国民負担続く 電力会社を優遇、収益保証
東京新聞 2014年11月14日
 経済産業省は十三日、原子力政策について話し合う有識者会議「原子力小委員会」で、今後の議論の方向性を示すした。原発を持つ電力会社の収益を保証したり、廃炉にする場合の損失計上についての優遇策などを盛り込んだ。事故が起きた場合の国と電力会社の責任をあいまいにしたまま国民負担につながる議論が着々と進んでおり、委員からは反対の意見も上がった。 (吉田通夫)
 
 素案は原発事業者の「損益を平準化する」措置を導入すると明記、参考に英国の制度を挙げた。国と電力事業者が原発の設置、運営などの費用を基に電気の基準価格を決定。想定より高い利益が生じた場合は国に納めるが、損失が生じると電気料金に上乗せして回収、収益を保証する仕組み。二〇一八~二〇年をめどに始まる電力料金の完全自由化後も電力会社が利益を確保しやすくする狙いだ。
 また、現在の原発は、古くても廃炉費用を積み立て終わっていないケースが多く、廃炉を決めた場合に電力会社に巨額の損失や費用負担が生じる。このため廃炉費用を一定期間かけて損失計上できる会計の優遇措置などを検討する
 実現のめどが立たずに国民負担が増え続けている核燃料サイクル(再利用)計画や、高速増殖原型炉「もんじゅ」の実用化を目指す方針も盛り込んだ。委員で原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「(電気)利用者の負担が増えないようにすべきだ」と求めた。
 一方、事故が起きた場合の国と電力会社の賠償責任については国会が約束した原子力損害賠償法の見直し期限を二年以上過ぎているものの、素案では「ほかの省庁が所管する事項」とするにとどめた。
 
 委員を務める吉岡斉(ひとし)九州大教授は「事故前の原子力政策と九割変わっていない」と批判した。