原子力規制委は26日、昨年8月に福島原発3号機でがれきを撤去した際に、放射性セシウムが飛散した影響の分析結果をまとめ、北に3キロメートル離れた地点まで飛散したことを認めましたが、約20キロメートル離れた南相馬市への飛散は否定しました。
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福島原発事故による健康管理の在り方について検討する環境省の専門家会議は26日、政府に提言する中間報告書案について議論しました。専門家からは「甲状腺検診の不利益ばかり強調されている。検査することで健康管理をしたい県民の声もある」として、検査の重要性を指摘する意見が相次いだということです。
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放射性セシウム、3キロ先まで飛散 福島第1のがれき撤去
日経新聞 2014年11月26日
原子力規制委員会は26日、東京電力が昨年8月に福島第1原子力発電所3号機でがれきを撤去した際に、放射性セシウムが飛散した影響の分析結果をまとめた。
25キロメートル圏内の5地点を調べたところ、北に3キロメートル離れた福島県双葉町で放射性セシウム降下量が1平方メートルあたり3万4000ベクレルに達し、高い値を検出した。
他の4地点ではがれき撤去前後で変化はほぼなかった。約20キロメートル離れた南相馬市で収穫されたコメを汚染したと一部で指摘されたが、その可能性は否定した。
甲状腺検診の重要性を指摘 環境省の専門家会議
福島民友ニュース 2014年11月27日
東京電力福島第1原発事故による健康管理の在り方について検討する環境省の専門家会議(座長、長瀧重信長崎大名誉教授)は26日、都内で会合を開き、政府に提言する中間報告書案について議論した。専門家からは「甲状腺検診の不利益ばかり強調されている。検査することで健康管理をしたい県民の声もある」として、検査の重要性を指摘する意見が相次いだ。
中間報告書案では、甲状腺がん検診について一般論として「寿命を全うするまで症状が出ない小さながんまで発見する可能性がある」と指摘。その上で、参加者の同意を得て調査を進め、がんが増加するかどうか被ばくとの関連を検証すべきとしている。
このまとめに対し、清水一雄日本医科大名誉教授が「県民から検査してほしいとの声があることを分かってほしい」と指摘。石川広己日本医師会常任理事も「異常があるかないかを見るのが検診。そこに臨床医が寄り添うことが重要だ」と述べ、検査が県民の健康不安の解消につながっている側面を訴えた。
このほか、丹羽太貫福島医大特命教授と阿部正文福島医大総括副学長が、放射性物質による直接的な健康影響だけではなく、原発事故が間接的に引き起こした精神的な問題や生活習慣病の増加などについても政府が責任を持つべきで、報告書に書き込むべきだと主張した。
これらの指摘に対し、長瀧座長は「参加者の自由な意思を尊重すべきだ」「直接的な影響以外の部分はこの会議で議論できることなのか」などと否定的見解を述べた。
環境省の担当者は、今後の検討会の進め方について「いただいた意見を反映させる作業をしないと分からない」と述べ、次回開催の考えを明確にしなかった。報告書は政府の「子ども・被災者支援法」に関連する政策や、本県の県民健康調査の方向性にも影響を与えるため、環境省の対応が注目される。