2014年11月12日水曜日

川内原発 県民説明は来秋|宮城最終処分場調査越年|栃木県環境省から「賛否問われてない」|飯舘村民の半数が賠償申し立て

 鹿児島県の伊藤知事川内原発の再稼働への同意を宮沢経産相報告した際に、宮沢氏は「県民全員が納得しているわけではないので、ぜひ理解を深める努力を」と知事らに要請しました。それを受けて伊藤知事は記者団に対し来年秋をめどに鹿児島市で全県民を対象にした説明会を開く方針を明らかにしました。来年秋には既に運転中の見通しですが、知事は「説明会開催は急いでする話ではない」と強調しました。不可解なことです
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 宮城県内最終処分場3候補地での環境省によるボーリング調査は、加美町が断固反対していることに加え、近く雪が降り始めるので調査の完了は、越年の可能性が高まっています
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 環境省が栃木県内の処分場は「市町村長会議で確定した」と主張したことに対して、9日の市町村長会議では、「確定させたのは環境省」、決定に従ってと言われるのは甚だ不本意」、県内1カ所と押し切られた。賛否を問われたこともない」などと反発の声が上がりました。
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 原発事故で避難を余儀なくされた福島県飯舘村の住民が11日、村の人口の半数に当たる約3千人が東電に損害賠償を求め、裁判外紛争解決手続き(ADR)を14日に申し立てると発表しました。現在支払われている1人当たり月10万円の「避難慰謝料」を35万円に増額するよう請求する一方、「村に帰れずに生活が破壊された」として1人2千万円の慰謝料なども求めます
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県民説明会は再稼働後 川内原発 知事「来秋めど」
東京新聞 2014年11月11日 
 鹿児島県の伊藤祐一郎知事と同県議会の池畑憲一議長は十日、宮沢洋一経済産業相と経産省内で会談し、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の再稼働への同意を表明したことを報告した。宮沢氏は「県民全員が納得しているわけではないので、ぜひ理解を深める努力を」と知事らに要請した。
 
 伊藤知事は終了後、記者団に対し、宮沢氏の要請も念頭に、来年秋をめどに鹿児島市で全県民を対象にした説明会を開く方針を明らかにした。川内1、2号機は年明け以降に再稼働し、説明会を開く来年秋には既に運転中の見通し。
 原発の安全性や事故時の避難への懸念が強いが、知事は「一定の結論が出ているので(説明会開催は)急いでする話ではない」と強調した。
 会談で、伊藤知事は三日に宮沢氏が鹿児島県入りしたことに関し「(原発の安全性の)確認や(再稼働の必要性を)説明してもらったことに感謝している」と述べた。
 池畑議長は会談後、菅義偉(すがよしひで)官房長官に、国があらためて原発の安全性や必要性を県民に説明することや、同意が必要な地元の範囲について明確な基準を示すことを求める安倍晋三首相宛ての意見書を提出した。
 
宮城最終処分場 現地調査、越年の可能性
  
 福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設をめぐり、環境省が県内3候補地でボーリング調査に向けた準備作業を見送って10日で2週間が過ぎた。加美町が断固反対していることに加え、候補地では近く雪が降り始め、作業への影響は避けられそうにない。ボーリングを含む現地調査の完了は、越年の可能性が高まっている。
 
 栗原市深山嶽ではボーリングが4カ所予定されている。市によると、資材を運ぶモノレールの敷設に1週間、掘削に3~4週間かかる見通しだ。
 周辺では例年、11月中旬から降雪と融雪を繰り返し、12月中旬に根雪になる。佐藤勇市長は「早く掘ってもらわないと雪が降る。12月初めに終わるような日程でやってほしい」と語る。
 対照的なのが猪股洋文加美町長。「降雪前の調査終了は現実的に難しいのではないか」とみる。
 加美町は昨年12月、積雪のため候補地の田代岳に向かう町道を通行止めにした。ことしは候補地となったことで注目を浴びたため「積雪後も人が来る可能性があり、安全を確保したい」(猪股町長)として、通行止め開始を早める考えを示す。
 浅野元・大和町長は「時間は少ないが、3市町で足並みをそろえる条件は守ってほしい。急いで雑な作業になってはいけない」とくぎを刺す。地元住民によると、候補地の下原の近くに登山口がある船形山は10月末、山頂周辺が冠雪した。
 環境省は10月8日、3候補地で現地調査に着手した。同月24、25、27の3日間、加美町でボーリングに向けた準備作業を試みたが、住民の抗議を受け見送った。
 村井嘉浩知事は10日の定例記者会見で「環境省からは『年内に調査を終えるように努力する』ということしか伝わっていない」と説明。「県が実施主体で私が責任者であれば、決めたことは最後まできちんとやる」と主張した。
 
処分場選定「賛否問われてない」 複数首長、環境省の解釈に疑念
河北新報 2014年11月11日
 「市町村長会議の決定とするのは責任転嫁」「賛否を問われたことはない」-。9日に宇都宮市内で開かれた県指定廃棄物処理促進市町村長会議では、処分場の県内設置や選定手順を議論してきた市町村長会議の性質めぐり、複数の首長から同省側の解釈への疑念が出た。
 
 同省はこれまで候補地選定への疑問点を挙げる塩谷町側に対し、県内に処分場を設置するための選定手順を「市町村長会議で確定した」と主張。見形和久町長はこの日の会議でも「確定させたのは環境省」と反発した。
 「市町村長会議の決定に従って、と言われるのは甚だ不本意」と佐藤信鹿沼市長が同調。「意見を言っても県内1カ所と押し切られた。賛否を問われたこともない」と疑問を呈した。高久勝那須町長も「平行線だった議論が決定とされ、責任転嫁されている」と批判した。
 同省の小里泰弘副大臣は「意見を受け止め、決定したのはあくまで環境省」としつつ「会議で選定手法に従い選定作業に入る旨を明言し、問題なく終了した」と述べた。
 一方、市町村長会議は前回選定時に、国と地元の意思疎通の不足という県内首長からの批判を受け、設置された経緯もある。県町村会長の古口達也茂木町長は「(会議の性質を)最初に確認せず責任を感じる」と苦渋をにじませた。会議後、「消極的な承認や確認はあったと思っていたが、首長よってはそうでなかった。市町長が何に責任を持ち、何を決定、確認するのか話し合っておくべきだった」と、見形氏らに一定の理解を示した。
 会議の席上、4市町長以外の発言はなかった。県市長会長の佐藤栄一宇都宮市長は会議後、「これまでに細かい点や疑問点、反対などの意見は言ってきた。このような会議は今後は必要ないと思う。市長会としては町村会と歩調を合わせ、協力できるものは協力していく」と語った。
 
飯舘村民の半数が賠償申し立て 原発避難で裁判外手続き
東京新聞 2014年11月11日
 東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされた福島県飯舘村の住民が11日、東京都内で記者会見し、村の人口の半数に当たる約3千人が東電に損害賠償を求め、原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)を14日に申し立てると発表した。
 
 弁護団の保田行雄弁護士は「同じ避難地域の半数の人たちが集団で申し立てるのは恐らく初めて。画期的な動きだ」と強調。現在支払われている1人当たり月10万円の「避難慰謝料」を35万円に増額するよう請求する一方、「村に帰れずに生活が破壊された」として1人2千万円の慰謝料なども求めるという。 (共同)