27日、大津地裁は滋賀県の住民らが関電高浜原発3、4号機と大飯原発3、4号機の再稼働差し止めを求めた仮処分の申し立てを却下しました。
仮処分の申し立てを却下することは原子力規制委員会の審査に待つというものです。
大飯3、4号機の再稼働差し止めを巡っては、福井地裁は今年5月に差し止めを命じる画期的な判決を出しましたが、大阪高裁に出されていた住民らの仮処分申請は、同月、原子力規制委員会が新基準による審査を進めていることを理由に却下されました。
原子力規制委の審査結果に従うということであれば、結論はほぼ見えています。
大飯原発の再稼動を差し止めた福井地裁の英明で緻密を極めた判決を、他所にも求めるということはやはり簡単ではないということでしょうか。
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原発再稼働差し止め:大飯・高浜の仮処分却下 大津地裁
毎日新聞 2014年11月27日
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)と高浜原発3、4号機(同県高浜町)=いずれも停止中=を巡り、滋賀、大阪、京都3府県の住民計178人が関電を相手取って再稼働の差し止めを求めた仮処分申請で、大津地裁(山本善彦裁判長)は27日、早急に再稼働が容認されるとは考えにくいとして、申請を却下する決定を出した。
大飯3、4号機の再稼働差し止めを巡っては、大阪高裁が今年5月、原子力規制委員会が新基準による審査を進めていることを理由に住民らの仮処分申請を却下。一方、福井地裁は同月、差し止めを命じる判決を出し、司法判断が分かれていた。
住民側は東京電力福島第1原発事故(2011年3月)後の11年8月、定期検査中だった両原発と美浜原発の計7基の再稼働差し止めを求めて仮処分を申請。昨年12月には3原発の計11基について、同じ趣旨の訴訟を起こした。決定を早めるため今年9月、仮処分申請の対象を変更し、大飯3、4号機と高浜3、4号機に限定した。
申し立てで住民側は、新基準は福島事故の原因を解明した上で制定されたものでなく、原発の安全性を担保しておらず「再稼働は人格権を侵害する」として、訴訟の判決確定までの再稼働差し止めを主張。関電は却下を求めていた。
関電は高浜3、4号機について、再稼働の前提となる原子炉設置変更許可申請の補正書を原子力規制委員会に提出済みで、新基準による審査は大詰めの段階。大飯3、4号機も耐震設計の基になる「基準地震動」の設定が了承されるなど審査が進んでいる。【田中将隆】
◇一日も早い再稼働目指す
大津地裁が原発4基の再稼働差し止めを求める仮処分申請を却下する決定をしたことについて、関西電力は「妥当な判断をいただいた。安全が確認された原子力プラントは一日も早い再稼働を目指したい」とするコメントを発表した。
原発再稼働差し止め認めず 大津地裁、関電高浜と大飯
東京新聞 2014年11月27日
関西電力の高浜原発3、4号機(福井県高浜町)と大飯原発3、4号機(同県おおい町)の地震対策は不十分だとして、滋賀県の住民らが再稼働差し止めを求めた仮処分の申し立てについて、大津地裁(山本善彦裁判長)は27日、却下する決定をした。
いずれの原発も停止中。関電が昨年7月、再稼働に向けて、新しい規制基準への適合性審査を申請し、原子力規制委員会が審査を進めている。
山本裁判長は「規制委員会がいたずらに早急に、新規制基準に適合すると判断して再稼働を容認するとは考えがたい」と指摘。再稼働が目前に迫っているとの住民側の主張を退けた。 (共同)