福島県内の除染廃棄物の約千箇所の仮置き場をめぐり、環境省は12日、自治体関係者らに「3年をめど」としていた使用期間の延長を要請しました。中間貯蔵施設の地権者交渉が難航し使用開始が遅れる中、仮置き場の終了期限も明示できなくなり不満の声が相次ぎました。
◇ ◇
南相馬の自主避難者「将来戻る39.7%」市が意向調査
福島民報 2014年11月13日
南相馬市は12日までに、市外に自主避難している市民に対する初の意向調査の結果を公表しました。将来的に南相馬市に居住したいか、という設問に対しては「住むことを決めている」とした世帯は39.7%でした。
また市内の避難区域に住民登録をしている全員を対象に調査した結果は、解除後は元の区域内に戻るとした世帯は42.2%でした。
◇ ◇
「指定廃棄物」の最終処分場候補地に選ばれてその撤回を求めている塩谷町は12日、「指定廃棄物は福島第一原発付近で集中管理するべきだ」とする見形町長の考えに対し、県内外から184件の意見が寄せられ、反対意見は48件で、賛成意見は136件であったと発表しました。栃木県や東京都を含む首都圏の広域から意見が集まっており、賛成反対問わず、国の対応への不満が多く聞かれたということです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
福島・中間貯蔵 仮置き場「延長」 自治体の不満噴出
東京新聞 2014年11月13日
東京電力福島第一原発事故に伴う福島県内の除染廃棄物を保管している各自治体の仮置き場をめぐり、環境省は十二日、福島市で自治体関係者らを集め「三年をめど」としていた使用期間の延長を要請した。搬入先の中間貯蔵施設は地権者交渉が難航し使用開始が遅れる見通しの中、仮置き場の終了期限を明示できず、自治体側からは不満の声が相次いだ。
環境省福島環境再生事務所の関谷毅史(たけし)所長は「全ての除去土壌を一度に中間貯蔵施設に搬出できず、保管の継続をお願いせざるを得ない。おわび申し上げる」と述べた。
県内には約千カ所の仮置き場がある。環境省は中間貯蔵施設への来年一月の搬入開始は変えないという。
会合で自治体側から延長の期限に関する質問が相次いだが、環境省は「どれくらいの期間で搬出できるかは現時点で示せない」と繰り返し、「仮置き場の地権者と契約交渉ができない」「地権者の将来計画が立たない」などの声が上がった。
環境省はこれに先立ち、中間貯蔵施設への輸送に関わる地元自治体や県警など関係機関との会合を開き、廃棄物の輸送計画について説明。まずは一自治体当たり千立方メートルの廃棄物を約一年かけて試験的に中間貯蔵施設に運ぶと明らかにした。
南相馬の自主避難者「将来戻る39.7%」市が意向調査
福島民報 2014年11月13日
南相馬市は12日までに、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に伴い市外に自主避難している市民に対する初の意向調査の結果を公表した。将来的に南相馬市に居住したいか、という設問に対しては「住むことを決めている」とした世帯が39.7%だった。
調査は6月30日から8月4日にかけ、避難区域外から市外に自主避難している3717世帯に対して実施し、1283件の回答があった。
市内への居住意向の調査結果は以下の通り。
(1)自主避難者の将来的な南相馬市への居住意向
市内に居住する 39.7% 市外に居住する 12.8%
まだ判断できない 44.6% 無回答 2.9%
「(市内に住むかどうか)現時点では判断がつかない」とした世帯が44.6%で最多を占めた。帰還する意思がない世帯に理由を聞いたところ、「放射能汚染への不安」が48.3%で最も多く、「避難先での生活が落ち着いてきた」(40.7%)、「教育・子育て環境の不安」(35.5%)などと続いた。
市内の避難区域に住民登録をしている5476世帯対象の調査も同時期に実施し、2987件の回答があった。避難区域の避難指示が解除された後の市内への居住意向についての結果は以下の通り。
(2)避難区域解除後の南相馬市への居住意向
避難区域に戻る 42.2% 避難区域外に居住する 13.0%
市外に居住する 12.2% まだ判断できない 30.1%
無回答 2.5%
「解除後の同区域内に戻って居住する」とした世帯が42.2%で最多だった。
福島で集中管理 塩谷町が県内外の意見紹介
東京新聞 2014年11月13日
高濃度の放射性物質を含む「指定廃棄物」の最終処分場候補地に選ばれ、選定の撤回を求めている塩谷町は十二日、見形(みかた)和久町長が国に提案している「指定廃棄物は福島第一原発付近で集中管理するべきだ」という考えに対し、県内外から百八十四件の意見が寄せられたと発表した。
町総務課によると、反対意見は四十八件で、賛成意見は百三十六件。七~十一日にかけて、町役場に電話やメールなどで寄せられた意見を集計した。
反対のうち、二十件が福島県からで、二十八件が福島県外(住所不明含む)からだった。主な意見には「関東で使っている電気をつくっていた発電所が起こした事故なのだから関東(栃木)で処分すべきだ」「福島のことを分かって発言しているのか」などがあった。
賛成の内訳は、福島県が十四件、福島県以外(住所不明含む)が百二十二件だった。「放射能を拡散させないためには必要なこと」「原発はこういう問題を引き起こす原因になるので、再稼働についても反対してもらいたい」などの意見があった。
塩谷町によると、栃木県や東京都を含む首都圏の広域から意見が集まっており、賛成反対問わず、国の対応への不満が多く聞かれたという。町は、見形町長が「福島への集約は、被災者への十分な補償の下、生活再建が行われることが大前提」と訴えていることも周知し、広く理解を求めていくとした。(大野暢子)