2014年11月4日火曜日

志賀原発 国の防災訓練|プルサーマル計画再延期へ 

 政府は2日、北陸電力志賀原発での事故を想定した原子力総合防災訓練を、2日~3日の日程で始めました。関係省庁のほか、石川、富山両県の自治体など計約150機関から約4000人が参加しました。訓練では、船による避難が折りしも悪天候でできないなど、避難時の課題も浮き彫りになりました。
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 大手電力会社でつくる電気事業連合会は、2015年度までに全国の原発16~18基で実施する予定だったプルサーマル計画を先送りする見通しです。使用済み核燃料の再処理工場の完成が遅れているのに加え、停止している原発の再稼働の見通しが立たないためです。
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志賀原発 国の防災訓練 甘い想定 課題あらわ
東京新聞 2014年11月3日
 政府は2日、北陸電力志賀(しか)原発(石川県志賀町)での事故を想定した原子力総合防災訓練を、2日間の日程で始めた。関係省庁のほか、石川、富山両県の自治体など計約150機関から約4000人が参加。訓練では、船による避難が悪天候でできないなど、避難時の課題も浮き彫りになった。
 東京電力福島第一原発事故の反省から、今回初めて自然災害との複合災害を想定する訓練も実施。地震による被害の発生も仮定し、合同対策本部の会合を開いた。
 
 午前八時に原発周辺で震度6強の地震が発生し、原子炉の冷却ができなくなったと想定。昼すぎには官邸で安倍晋三首相が「2号機で原子炉への全ての注水機能を喪失した」と述べ、原子力緊急事態を宣言し、原子力災害対策本部を設置した。
 志賀町では、一部の住民が船で避難することを想定していたが、波が高かったためバスでの避難に切り替えた。
 また支援が必要な人の避難訓練では、原発の半径五キロ圏の自宅に住む体の不自由な高齢者らの避難を想定して実施。近所の住民の車で、高齢者役などの住民が放射線防護策を施した町営武道館に一時退避し、さらに大型バスで三十キロ圏外の石川県白山市へ向かった。
 
 気密性の高い扉や天窓が備わった武道館の一室で住民は、放射線を遮断する効果がある鉛製カーテンを自分たちで広げて設置。主婦井上由紀子さん(65)は「鉛のカーテンは重くて動かしにくかった」と話した。
 志賀町の特別養護老人ホーム「はまなす園」では、病状が重いなど優先度が高い入所者四人の避難を想定。雨の中、寝たきり状態の入所者役の職員を担架で救急車に運ぶなどした。酢谷(すや)豊一施設長(57)は「地震で道路が寸断されたら、自宅にいる職員が駆け付けられない」と不安を語った。
 都内の原子力規制委員会で開かれた模擬の記者会見では、担当者が冷却機能が回復しなければ、まもなく燃料が露出する見通しだと説明した。
 
 国主催の訓練は事故後二回目。一回目は昨年、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)での事故を想定して実施した。二日目も除染などの訓練を行う。
 
 
プルサーマル計画、再延期へ 原発再稼働の見通し立たず
朝日新聞 2014年11月3日
  大手電力会社でつくる電気事業連合会は、2015年度までに全国の原発16~18基で実施する予定だったプルサーマル計画を先送りする方向だ。使用済み核燃料の再処理工場の完成が遅れているのに加え、停止している原発の再稼働の見通しが立たないためだ。
 
 核燃料サイクル事業の柱の一つであるプルサーマル計画が延期されれば、核燃サイクル事業の必要性そのものを疑問視する声が強まる可能性もある。
 プルサーマルは国が方針を示し、電事連が実施計画を策定している。1997年に「2010年度まで」に実施する予定だった計画は、09年に「15年度まで」に延期された。原発を持つ大手9電力と日本原子力発電など11社で計16~18基の実施を見込んでいる。
 
 11年の東京電力福島第一原発の事故前は、プルサーマルは同原発3号機、関西電力高浜3号機など計4基で実施された。だが、福島第一原発の事故の影響で国内全ての原発が停止。新規制基準への対応も課題となり、MOX燃料加工工場の完成は17年10月まで、再処理工場の完成は16年3月まで、それぞれ延期された。