2016年1月2日土曜日

02- 被災5年目の年に入りました

 原発事故の被災地にも新年が訪れました。
 原発事故の被災者たちいまだに10万人が県内外で避難を余儀なくされています。
 
 政府の方針で国の予算を重点配分した「集中復興期」は3月で終わり、その後は福島県による5年間の「復興・創生期間」に入るということです。
 国が行う除染は28年度で完了する予定で、29年3月までに居住制限区域と避難指示解除準備区域の避難指示を解除する方針です。
 指示を解除するということは、その時点で一切の賠償・支援を打ち切るということです。
 しかし年間被曝量20ミリシーベルトを基準にして避難指示が解除されても、若い人たちはほとんど帰還しません。健康で暮らすことができる環境ではないからです。
 
 東電は13年度以降に計画され(実施され)た除染の費用は負担しないことを明言しています。
 環境省は住居や農地、道路から20m以遠については今後も除染しない方針を明らかにしました。
 どちらも自分で自分の利益を守る=出費を断ることができる立場の人たちです。
 
 年間20ミリシーベルトを切ってもその土地には住めない以上、被災者たちは支援を打ち切られたあとは一体どうすればいいのでしょうか。
 中間決算で史上空前の儲けを出した東電を守る一方で、都合のよい理屈をつけて被災者支援からは手を引くというのは、余りにも被災者に冷淡な政治ではないでしょうか。
 
 福島地方紙の元旦記事を二つ紹介します。
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復興・創生期間へ 震災5年節目の年
福島民報 2016年1月1日
 平成28年は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の被災地に政府予算を重点配分する集中復興期間が3月で終わり、県内は5年間の「復興・創生期間」に入る。
 
 生活環境の回復に向けた除染は、帰還困難区域を除く避難区域の国直轄除染と、国が財政負担する市町村除染が28年度内に完了する予定だ。政府は29年3月までに居住制限区域と避難指示解除準備区域の避難指示を解除する方針で、社会基盤整備など住民の帰還に向けた動きが活発化するとみられる。
 震災と原発事故に伴い、いまだに10万人が県内外で避難を余儀なくされており、被災者の心の復興も重要度を増している。県は28年度、建設が遅れていた災害公営住宅を2211戸整備する予定。農林水産業や観光、地場産業の再生に向け、風評払拭(ふっしょく)へのさらなる取り組みも求められている。
 
 福島第一原発の廃炉作業と汚染水対策では、東電が汚染水発生を抜本的に減らすための切り札と位置付ける凍土遮水壁の本格稼働の時期が注目される。汚染水を保管する大型タンクは28年度中に接合部をボルトで締めたフランジ型から全て溶接型に切り替わる見通しだ。
 
 
被災地、復興へ “一歩ずつ” 試験操業、漁場拡大判断へ
福島民友 2016年01月01日
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から3月11日で丸5年となる。避難区域では避難指示解除後の古里の復興に向けた取り組みが一層活発化する見通しだ。国の「集中復興期間」は4月から「復興・創生期間」に移り、復興事業費の枠組みはこれまでの「国全額負担」から「一部地元負担」に変わる。一方、一進一退の状況が続く福島第1原発の廃炉作業では、汚染水対策や溶融燃料の取り出しに向けた作業が引き続き進められる。
 
 東京電力福島第1原発事故後、本県沿岸部で行われている試験操業について、県漁連は早ければ今月中にも、原発20キロ圏内での操業について、実施の是非を判断する方針だ。相馬双葉漁協に所属する漁業者からは、実施を望む声が上がっており、実施にこぎ着ければ操業範囲が拡大し、漁業復興の前進が見込まれる。
 
 事故前まで、20キロ圏内に漁場を持っていた相馬双葉漁協富熊地区代表の石井宏和さん(39)は「漁業復興へ確かな一歩だが、すぐに漁業者が試験操業に参加できるかは分からない」と、期待と不安の入り交じった心中を吐露する。
 石井さんは事故前、富岡町では釣り船業を営んでいた。祖父の代から続く漁業一家だ。同地区の正組合員は現在13人。いわき市、中通りなどで避難生活を送っているという。石井さん以外の漁業者は船を流されたが、現在9隻が新たに造船され、操業に参加する準備は万端だ。
 
 石井さんは「福島の漁業を失わないためには、現状を発信していくことが必要。今回の判断はそのきっかけになる」と期待を込めた。