宮城県議会有志の「脱原発をめざす県議の会」が21日開いた学習会で、講師に招かれた元原子炉格納容器設計者の後藤政志氏は、新規制基準の問題点やヒューマンエラーの可能性などを指摘し、「原発事故は被害規模が桁違いで、後世に及ぶ。絶対に安全と言えない限り、再稼働などとんでもない」と強調しました。
県議の学習会にはメンバー20人全員が参加しました。宮城県議会の議員数は59名(うち自民党議員は32名)なのでその3分の1に当たります。
後藤政志氏は、東芝で原子炉格納容器の強度設計を担当した人で2009年に定年退職しました。
在職中は、中部電力浜岡原子力発電所の3号機、4号機、東北電力女川原子力発電所の3号機の設計に携わった他、東電柏崎刈羽原子力発電所の3号機、6号機の設計も行いました。
そして2007年7月に新潟県中越沖地震が起きて柏崎刈羽原発が大きく損傷したときに、安全な原発は作れない(設計できない)ことを技術者として黙っていることはできないと思い、東芝在職中に偽名で原子力技術を批判する論文を発表しました。
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<脱原発宮城県議の会> 技術者招き学習会 始動
河北新報 2016年01月22日
昨年12月に発足した宮城県議会有志の「脱原発をめざす県議の会」は21日、初の学習会を開催し、東北電力女川原発3号機(宮城県女川町、石巻市)などの原子炉格納容器設計に携わった後藤政志氏の講演を聴いた。
県庁議会棟で開いた学習会には、メンバー20人全員が参加した。後藤氏は「原発をつくった技術者だから言えること」と題し、東京電力福島第1原発事故の経緯や現状を技術的観点から説明した。
その上で、事故後に設けられた新規制基準の問題点やヒューマンエラーの可能性などを指摘。「原発事故は被害規模が桁違いで、後世に及ぶ。絶対に安全と言えない限り、再稼働などとんでもない」と強調した。
佐々木功悦会長(みやぎ県民の声)は「東北電は女川原発の再稼働を目指しており、いずれわれわれも判断を迫られる。政治家として一番大切なのは県民の命を守ること。脱原発に向けてしっかり勉強しなくてはならない」と語った。
県議会は21日、学習会開会と同時刻の午後2時に会派代表者による懇話会を開催。懇話会出席者からは、「県議の会」発足時に正副議長や全会派代表者へ事前の相談や調整がなかったことへの意見も出た。
自民党・県民会議の中島源陽会長は「会派を横断する勉強会や議員連盟の結成には事前の調整があるべきだ、という認識の共有が大切だと考える」と述べた。
「県議の会」のメンバー20人は県議会7会派のうち4会派から集まった。過半数を占める自民党・県民会議からの参加者はいない。