福島民報 2016年1月17日
本県沖の魚介類を対象とした県の放射性セシウム検査で、平成27年に調べた約180種類、8577点のうち食品衛生法が定める基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えたのは4点、割合は全体の0・046%だった。基準値超の検体数は検査を開始した23年4月以降、減少傾向にあり、27年に初めて1桁となった。県と県漁連は試験操業の魚種や海域の拡大に向けた検討材料とする。
県が27年に実施した検査で基準値を超過した4点は、富岡沖で採取したシロメバル3点と、いわき沖で捕獲したイシガレイ1点。
23年4月から27年までの検査結果の推移は【グラフ:省略】の通り。基準値を超えたのは23年が1972点のうち39・8%に当たる785点、24年が5580点のうち16・5%を占める921点、25年が7641点の3・7%となる280点、26年は8722点のうち0・9%の75点だった。
県は基準値超の検体が減っている要因として(1)セシウム134の半減期が約2年である(2)魚介類の世代交代が進んだ(3)東京電力福島第一原発の復旧作業の進展で放射性物質の排出量が減った-ことなどを挙げている。
調査は福島第一原発事故発生後の23年4月以降、県が県水産試験場の調査船や漁業者の協力で福島第一原発の20キロ圏内の海域を含む本県沖で毎月継続している。昨年末までに原発事故前、本県で水揚げされていた魚介類約180種類を対象に合わせて3万2493点を採取して調べた。
県は検査結果を国内外に安全性をPRする際の基礎資料にも生かす。安全性を確認した魚種で実施している試験操業は16日現在、71種類で行われている。
■89%下限値未満 県、安全性PRに活用 本県沖魚介類放射性物質検査
県が実施した平成27年の魚介類の放射性セシウム検査では、採取した8577点のうち、全体の89・5%に当たる7677点が検出下限値未満だった。
全検体数のうち、検出下限値未満の検体の割合は、23年が294点で14・9%、24年が2287点で41・0%、25年が5216点で68・3%、26年が7260点で83・2%だった。
27年の検査で食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)以下か、検出下限値未満だった主な魚種は【表】の通り。
県は29年度以降に政府の支援を受け、浜通りに情報発信の拠点機能を備えた県水産試験研究拠点を整備する方針。県は「検査結果は本県沖の魚介類の安全性をPRするための有効なデータとして生かしていく」としている。
平成27年の放射性セシウム検査で基準値以下か検出下限値未満だった主な魚種は次の通り。
■ 基準値以下か検出下限値未満だった主な魚種
(省 略)