2016年1月16日土曜日

原発ADR 福島県が初申し立てへ…人件費など10億円

毎日新聞  2016年1月14日 
 東京電力福島第1原発事故の損害賠償請求で、福島県は賠償請求額の一部について、国の原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(原発ADR)を初めて申し立てる方針を固めた。
 
 対象は原発事故に対応するため新設した除染対策課の人件費や風評被害対策費など約10億円で、県議会の承認を得て4月にも申し立てる方針。
 都道府県のADR申し立てでは、福島を除く東北5県や群馬、千葉の計7県が既に申し立てており、岩手県は和解している。福島県も東電が支払いを拒否する賠償額について申し立てが必要と判断した。
 
 福島県はこれまで約304億円を東電に賠償請求し、東電側は放射性物質を含む下水汚泥など廃棄物の処理・保管費や農畜産物の放射性物質の検査費など約141億円は支払いに応じた。
 しかし、原発事故の対応に従事する県職員の人件費や観光客を誘致するための宣伝といった風評被害対策費などについては「原発事故との因果関係が不明」として拒否しているという。
 県はまず約10億円分のADRを申し立て、その結果次第でその他の未払い分についてもADRを申し立てるか検討する。
 
 東電福島広報部は取材に「詳細については承知していないが、真摯(しんし)に対応したい」とコメントしている。【土江洋範】