2016年1月5日火曜日

福島県の民有林9割が伐採可能 線量0・5マイクロ/時下回る

 福島県木材協同組合連合会(県木連)の調査によれば、福島県民有林の約9割が空間線量が毎時0・5マイクロシーベルト以下で、その場合は樹皮に含まれる放射性物質量は8000ベクレル/キロであることを確認しました(因みに国が避難指定区域を設定したり解除する基準値としている年間20ミリシーベルトは、毎時2.3マイクロシーベルトに相当します)。
 
 県木連関係者は「放射線量の低い森林から伐採すれば放射性物質を含んだ樹皮の発生を抑制できる」として、計画的な伐採で林業再生を加速させたい考えです
 これに関連して福島県は4日環境省が民家や農地から20mの範囲と日常的に人の出入りがある場所を除く森林は原則として除染しない方針を固めたことに対して、林業再生や林業従事者の被ばく低減策及び住民帰還を見据えた具体的な方向性と対策について、説明するように同省に申し入れました
 
 環境省が昨年12月、宅地や道路、農地から20m離れた森林地帯の除染は行わないことに決めた理由は、それでも生活圏への放射能の移動はないし、除染すると土砂崩れの恐れが生じるからというものでした。しかしある地域を除染をしても直ぐにほぼ元の値に戻るという事実は、周囲の放射性物質が時間とともにそこに移動してくるからに他ならないし、土砂崩れが起きるかどうかはひとえに地形によって決まるもので、理由にはなりません。まことにいい加減過ぎる理由です。
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民有林9割伐採可能 県の線量基準を下回る
福島民報 2016年1月4日
 (福島)県内民有林の約9割が県の伐採・搬出基準(空間放射線量毎時050マイクロシーベルト以下)を下回り、原木を伐採できることが県木材協同組合連合会(県木連)のまとめで分かった。県木連関係者は「放射線量の低い森林から伐採すれば放射性物質を含んだ樹皮の発生を抑制できる」として、計画的な伐採で林業再生を加速させる考えだ。
 
■避難区域の低減課題
 県木連は原子力規制委員会公表の空間放射線量データ(平成26年9月1日~11月7日測定)を基にまとめた。県内約21万地点のデータから民有林8万9666地点を抽出した結果、88%に当たる7万8633地点が伐採・搬出ができる毎時050マイクロシーベルト以下だった。会津地方や県南地方などの33市町村の民有林では基準超えがゼロだった。
 県の基準を上回ったのは全体の12%に当たる1万1033地点だった。浜通りや県北地方などの26市町村で見られた。
 
 東京電力福島第一原発事故で避難区域が設定された12市町村のうち、田村市と広野町を除く10市町村で県の基準を超えた民有林の割合が50%を超えた富岡町と葛尾村は全ての調査地点、大熊、双葉、浪江、飯舘の4町村は90%以上の地点で基準を上回った
 
 県木連は避難指示解除や林業再生の動きが加速する中、今後の伐採林の選定などに役立てようと伐採・搬出が可能な地域を詳細に調べ、放射線モニタリング地図にまとめた。地図には厚生労働省が原則として営林活動を行わないよう求めている毎時25マイクロシーベルト超の地点も記した。ほとんどが帰還困難区域と重なった
 
 県内の森林面積約97万ヘクタールのうち、民有林は約6割の56万ヘクタールを占める。林業従事者や個人らが先祖から受け継いできた財産、なりわいの場で重要な地域資源となっている。新たな建築材CLT(直交集成板)への活用も期待されている。
 県基準を上回った民有林では林業再生のため、放射性物質の低減策などが求められる。
 
■森林除染見送り国に対策求める 県、きょう申し入れ
 環境省が民家や農地から20メートルの範囲と日常的に人の出入りがある場所を除く森林は原則として除染しない方針を固めたことを受け、林業再生や住民帰還を見据えた具体的な方向性と対策を示すよう求める声が上がっている。同省などは林業従事者の被ばく低減策も明示していない。県は4日、同省に説明するよう申し入れる。
 
※県の民有林伐採・搬出指針
 指定廃棄物となる1キロ当たり8千ベクレルを超える樹皮の発生を抑制するため、平成26年12月に木材業者らに通達した。県の調査で、空間放射線量が毎時0・50マイクロシーベルト以下の森林では8千ベクレルを超える樹皮が確認されなかったため、伐採地が毎時0・50マイクロシーベルト以下であれば伐採・搬出を認めた。0・50マイクロシーベルトを超えた場所でも樹皮が1キロ当たり6400ベクレルを下回った場合に限り伐採・搬出を可能とした。