東電の広瀬直己社長が5日、「年始のあいさつ」のため県庁を訪れ、泉田裕彦知事と会談しました。
泉田知事は、福島事故時にメルトダウンの公表が大幅に遅れた点を取り上げ、「それでは避難ができない。避難計画以前の問題だ」とし、「東電は聞かれたことに最小限答えるだけで、みずから問題点を直す意識がない」などと厳しく批判し、議論は平行線をたどりました。
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東電社長 新潟県知事に原発再稼働へ理解求める
NHK NEWS WEB 2016年1月5日
東京電力の廣瀬社長が5日、新潟県庁を訪れ、泉田知事に柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を目指す取り組みなどに理解を求めました。泉田知事は、「東京電力は、みずから問題点を直す意識がない」などと厳しく批判し、議論は平行線をたどりました。
東京電力の廣瀬社長は年始のあいさつのために5日午後、新潟県庁を訪れ、泉田知事と会談しました。
廣瀬社長は「福島の事故から5回目の正月となり、長い間ご迷惑をおかけしていることを深くおわびします。柏崎刈羽原発については事故を踏まえ、補強工事を行っているほか、安全訓練を6000回近く実施するなど対策を強化している」などと理解を求めました。
これに対し、泉田知事は「問題なのは技術的な対策だけでなく、組織の運営体制にある。メルトダウンを公表するまでに2か月もかかった理由など疑問に答えず、みずから問題を明らかにし直そうという姿勢が全くない」などと厳しく批判し、議論は平行線をたどりました。
会談のあと廣瀬社長は「われわれとしては、すべてを見せているつもりだが、知事に理解してもらうために、さらに何が必要なのかを考えたい。柏崎刈羽原発の再稼働には、知事を含めた県民の理解が必要だと考えている」と話していました。
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柏崎刈羽原発の審査の状況は
東京電力柏崎刈羽原発の原子力規制委員会による審査は、5年前に事故を起こした福島第一原発と同じタイプの中では最も進んでいて、初めて合格することになるか注目されます。
原発事故の教訓を踏まえて3年前に施行された新しい規制基準の下では、これまでに全国の16原発26基で審査の申請が行われました。このうち、去年、再稼働した鹿児島県にある川内原発の1号機と2号機、ことし再稼働する見通しの福井県にある高浜原発3号機と4号機、愛媛県にある伊方原発3号機と、これまでに合格したのはいずれも福島第一原発とは異なる「加圧水型」と呼ばれるタイプの原発です。
福島第一原発と同じ「沸騰水型」と呼ばれるタイプの中では、柏崎刈羽原発6号機と7号機の審査が先行して進んでいます。これまでに、審査の重要項目の1つになっている原発で想定される最大規模の津波の高さが了承され、重大事故に備えた設備の審査が集中的に進められています。現在、想定される最大規模の地震の揺れの議論が終盤を迎えていますが、防潮堤の下を走る断層の活動性を巡り、規制委員会がデータ不足を指摘したことから、追加調査が行われており、沸騰水型の中で初めて合格することになるか、今後の審査が注目されます。
また、仮に合格したあとも、原発事故を起こした当事者が目指す再稼働だけに、東京電力が行った安全対策や組織体質の見直しが地元などの理解を得られるか課題になります。