2016年1月4日月曜日

04- 日本の原発は対テロ防御性に決定的に欠ける

 3日の記事:「原発はテロに勝てるか・・・」で産経新聞の検証内容を紹介しましたが、 日刊SPA!!は12月28日の記事で「原発テロに対して最も危ないのは日本の原発」だとしています。日本の原発はテロに対しての防御能力をほとんど持っておらず、(世界の中でも)最も危険であるというものです。
 
 日本の電力会社は常に安全性よりも経済性を追求するという立場で、政府、原子力ムラ、そして規制委も、原発は安全だと言いたててそれをサポートしています。
 そもそも原発テロに対する警戒心を持っていないのですから、防御能力をもっていないのは当然のことです。
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原発テロ、最も危ないのは日本!? 地球規模で放射能汚染の可能性も
日刊SPA!! 2015年12月28日
もうすでに手遅れなのか? それとも、今ならまだ間に合うのだろうか? 人類滅亡につながりかねない、人為的に引き起こされている“危機”の現状をリポートする!!
 
【原発テロ】地球規模で放射能汚染の可能性!! 最も危ないのは日本!?
 世界各国で紛争処理の活動を行ってきた伊勢崎賢治・東京外語大教授は、原発事故後に、あるニュース番組を見ていて鳥肌が立ったという。映像には、反原発団体のボートが福島第一原発の沖合で水質調査をしている映像が流れていた。
「驚いたのは、その位置が携帯型対戦車ロケット弾発射器(RPG)の射程範囲だったことです。一般人ですらここまで難なく近づけるのかと。一発でも撃ち込まれたら大変なことになる」
 RPGは全世界で安価に流通、テロリストも容易に入手可能だ。
「日本の原発を狙うのは北朝鮮だけではなく、アルカイダや『イスラム国』(IS)が狙わないとも言い切れない。そうなれば地球規模の被害が発生する恐れがある。そんな原発を日本は海岸線に並べている。しかも海からの攻撃に対する防御が非常に甘い。最も脆弱な国家なのです」(伊勢崎教授)
 
 日本が標的となる地政学的要因もある。というのも、原発事故直後、真っ先に逃げ出したのは横須賀基地の米空母ジョージ・ワシントンだったという。
「アジアのほぼ全体を支配する米軍第7艦隊を日本から撤退させるには、再び原発事故を起こせばよい。そうテロリスト側が考える可能性もある」(同)
 ISが最も敵対視する米国に打撃を与えるために、米軍のアジア・中東戦略の要所であり、最も脆弱な日本を狙うというわけだ。
 
「福島の事故はテロリストたちに、旅客機をハイジャックして原発に突っ込むような大掛かりな方法は必要ないとのヒントを与えました。工作員を潜り込ませて電源喪失させるだけでいいのだと」(同)
 
「原発テロは、電力供給源の損失と莫大な放射能被害を同時に与えられる。テロリストには格好の標的」と語るのは、米国原発メーカーGEの元技術者で原子力情報コンサルタントの佐藤暁氏だ。
「格納容器より簡単に攻撃できて、メルトダウンと同等レベルの被害を引き起こしうる設備があります。それは原発に電気を供給する送電線や、取り出したばかりで温度の高い『使用済み核燃料』を保管するプールなどです。米国では核燃料プールのリスクを重要視。水冷方式をやめて、乾式貯蔵に切り替えています。こうした米国や欧州と比べて、日本の原発テロ対策は10年以上遅れている
 
9.11テロ標的候補の一つが原発だった
 米国では、全原発を150人の部隊が最新鋭の武器で守っている
「テロを想定した訓練も定期的に実施し、テロリスト役の仮想部隊が国内の約60か所の原発を“転戦”、各施設の部隊と模擬的に戦うことで実戦能力をチェックしていく。そのシナリオも『自爆覚悟のテロリストが水陸同時に攻めてくる』『内部に内通者がいる』『核燃料交換で格納容器が開けられる最も脆弱なタイミングで襲ってくる』といった最悪のケースを想定しています。日本では、原発の警備員はもちろん、装甲車を配備する程度の警察も、自爆テロを恐れないテロリストを食い止められるとは考えにくい」(米国原発メーカーGEの元技術者で原子力情報コンサルタントの佐藤暁氏)
 
 しかし原発テロ対策を世界一徹底している米国ですら、「少人数によるテロしか想定していない」「海上からの攻撃に対する防御に不備がある」などの批判もある。実際、9.11テロのときにはニューヨーク州の原発が標的候補になっていたとアルカイダの計画立案者が’02年に明らかにした。このとき原発が攻撃されていたら、どれだけの被害が出たのだろうか。
「’04年に『憂慮する科学者同盟』が独自に試算したところ、最悪の場合、急性被曝死者は4万3700人。晩発性がん死は51万8000人、永久移住者は1110万人。そして経済的損失は2兆2100億ドル(265兆円)。米国は再び航空機テロが起きることを想定して新規原発は格納容器の二重化が必須となり、既存の原発も同等か近いレベルにすることが義務づけられました」(同)
 
 フランスも米国と同様に徹底したテロ対策の仕組みがあるが、それでも完璧とはいえない。例えば、環境団体「グリーンピース」のメンバーが原発施設への侵入に成功しているのだ。
「’11年12月には格納容器頂上の登攀に成功し、『楽々成功』と書かれたのぼり旗を立てました。翌年5月にも、エンジン付きパラグライダーで別の原発の格納容器の真上を飛行、発煙弾を投下して敷地内に着陸しました。空からの攻撃には無防備だと実証されたのです」
 
 つまり、世界のどの原発も完璧に安全なものはなく、テロリストには格好の標的。同時多発的にテロが起きれば、地球規模で放射能汚染が広がる危険性も大きいのだ。 
取材・文・撮影/志葉 玲 横田 一