九電は12月17日に突然、これまで川内原発に事故対応拠点となる免震重要棟について方針を転換し、「他の電力会社の対応も見ると」設置済みの「代替緊急時対策所」で十分なので、設置しないことを表明しました。規制基準では設置の義務までは定めていません。
今月7日の玄海町議会の特別委員会で、今度は玄海原発に新設を予定した「免震重要棟」について、「地盤の特徴などを踏まえ、安全性を向上するという目的で総合的に検討したい」として、建設の是非を含めて再検討していることを明らかにしました。
それに対して反原発の市民団体は20日、九電が原発の「免震重要棟建設を放棄したことで再稼働の前提が崩れた」として、川内原発の稼働停止と玄海原発の再稼働手続きの中止を九電に要請しました。
また山口祥義佐賀県知事は20日、九電が玄海原発の免震重要棟建設を再検討していることに関し、「やるといったものはやるべき。信頼関係の問題だ」と、計画通り建設すべきとの考えを示し、仮に耐震施設などに変更する場合は「安全性が向上するという理由をしっかり説明しなければいけない」と指摘しました。
(関係記事)
2015年12月19日 川内原発、免震棟設置しないことに!?
2016年1月9日 玄海も「免震棟」再検討 九電
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市民団体、九電に手続きの中止を要請 「免震棟の放棄で再稼働前提崩壊」
佐賀新聞 2016年01月21日
反原発の市民団体は20日、九州電力が原発の「免震重要棟建設を放棄したことで再稼働の前提が崩れた」として、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の稼働停止と玄海原発(東松浦郡玄海町)の再稼働手続きの中止を九電に要請した。
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会とプルサーマルと佐賀県の100年を考える会の2団体が、福岡市の九電本店を訪れ、要請書を手渡した。
要請では、免震重要棟が福島第1原発事故の際に対応拠点となったことを踏まえ「建設の放棄は、住民をだまし、規制委員会との約束を破るもの」と批判した。川内原発の計画撤回と玄海原発の再検討に至った経過や判断の説明などを求めた。九電の担当者は、他の電力会社が免震構造の施設に関し、新規制基準の下で適合性審査を通っていない現状を説明した。川内原発では、これまで実績が多く、技術的に確立されている「耐震」に変更した経緯を伝えた。
市民団体のメンバーは、耐震ではなく、揺れを抑える「免震」のメリットを強調し、「計画通りに建設できないなら川内の稼働を停止し、玄海も再稼働すべきではない」と指摘した。
玄海免震棟建設すべき 知事が表明 九電再検討
佐賀新聞 2016年01月21日
佐賀県の山口祥義知事は20日、九州電力が玄海原発(東松浦郡玄海町)の免震重要棟建設を再検討していることに関し、「やるといったものはやるべき。信頼関係の問題だ」と、計画通り建設すべきとの考えを示した。仮に耐震施設などに変更する場合は「安全性が向上するという理由をしっかり説明しなければいけない」と指摘した。
九電は昨年末、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の免震重要棟建設を撤回し、既に完成している代替緊急時対策所を継続使用して新たに耐震構造の支援棟を建設する計画への変更を公表した。玄海原発でも、免震棟計画を再検討していることを明らかにしている。
山口知事は、免震重要棟に関し「事故時の対応拠点として、一元的に対応できることが重要」との認識を示した。玄海原発については「検討中と聞いている。九電は自分たちの安全対策の考え方をしっかり説明すべき」と述べた。
その上で「川内原発の計画変更について原子力規制委員会への説明をしっかり見ていく」と今後の九電の対応を注視していく考えを強調した。