2016年3月4日金曜日

高浜4号機停止 トラブル続きに批判が相次ぐ

 関電高浜4号機で2月20日の1次冷却水漏れに続いて、起動本番の同29には原子炉の緊急停止を引き起こすなどトラブルが続いたことについて、1日開かれた福井県議会厚生常任委員会では委員から「県民、国民の信頼を大きく損ねた」「国の審査が甘かったのではないか」などと批判が続出しました
 
 1次冷却水漏れは配管接続部のボルトの緩みが原因と発表されましたが、1次冷却水ラインは最も危険なラインなのにそんな基本的なチェック(リークチェック)もしないで起動に臨もうとしていたのか、と驚かされます。なにやら「もんじゅ」の不始末を連想してしまいます。
 
 神戸新聞は3日の社説で、原発依存率が最も高い関電が、電力小売り全面自由化に当たって原発の再稼働に向けて前のめりになり、見切り発車をしたのではないかと指摘しました。既設の原発において、購入済みの核燃料で動かせば見かけのコストは確かに安いのですが、経済面を重視して前のめりになるなどということは、原発に関してはあってはならないことです。
 
 再稼働阻止全国ネットワークは2日、再稼働に抗議し同原発の廃炉を求める行動を、東京の関電東京支社前で行い冷え込みのなか参加者たちは「関西電力、原発やめろ」「高浜原発今すぐ廃炉」のコールを響かせました。
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高浜4号緊急停止に批判が相次ぐ 県議会常任委「国民信頼損ねた」
福井新聞 2016年3月2日
 関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)の原子炉が緊急停止したトラブルを受け、1日開かれた福井県議会厚生常任委員会では委員から「県民、国民の信頼を大きく損ねた」「国の審査が甘かったのではないか」などと批判が続出した。県と県議会は、原発に対する国民理解が重要として再稼働に同意しただけに、国民の信頼を失いかねないトラブルを厳しく糾弾した。
 
 自民党県政会会長の山岸猛夫委員は「昨年の12月議会であれだけ多くの安全対策などを議論して再稼働に同意したのに、安全性の面で県民や国民の信頼を大きく損ねた」と厳しい口調で非難した。
 2月20日の1次冷却水漏れ、同29日の原子炉の緊急停止と4号機でトラブルが続いたことを「重大に受け止めなければならない」とし、今後、原子力規制委員会の判断を慎重に見守る必要があると指摘した。
 細川かをり委員(無所属)は「信用失墜の事象」と断じた上で、「国民がこれほど注目し、国や県がここまでチェックしてもトラブルが起きた。(点検する設備の)重要度分類が甘いか、規制委の書類審査に限界があるのではないか」と指摘し、点検の範囲や審査体制を問題視した。
 西本恵一委員(公明党)は1次冷却水の漏えい問題について「ボルトのちょっとした緩みだけで放射能を含む水が漏れてしまう。なぜ緩まないよう、きちっとしていないのか」と関電の対応を疑問視。県に厳格な監視を求めた。
 「再稼働した初っぱなにトラブルが起き、国民理解は得られない」(糀谷好晃委員=民主・みらい)といった声も出た。
 
 県の櫻本宏安全環境部長は2度のトラブルについて「県民、国民の原発に対する信頼を損ねるものと思っており、極めて遺憾」と述べた。原子炉の緊急停止の問題に関しては「法令事象となっており、規制委がしっかりと判断すべきだ。重要度分類に問題があるかどうかも含め、厳格な対応が当然求められる」と指摘。県としても全力を挙げて対応すると強調した。 
 
 
(社説)高浜4号機停止 前のめり姿勢では危うい
 神戸新聞 2016年3月3日 
 再稼働は拙速だったのではないか。そう思わざるを得ない事態だ。
 関西電力高浜原発4号機(福井県)で発電と送電を開始する作業中に原子炉が緊急停止した。
 
 4号機は再稼働を目前に控えた2月20日、最終工程で放射性物質を含む原子炉冷却水が漏れるトラブルが起きた。漏えいは配管に取り付けたボルトが十分に締められていなかったことが原因だった。
 重大事故につながりかねない漏えいだが、関電は同26日に予定通り原子炉を起動し、その3日後に再びトラブルが起きた。4年7カ月ぶりの再稼働である。点検はしっかりできていたのか。再稼働を急いだ関電の姿勢には疑問符がつく。
 
 緊急停止について関電は、送電線側から想定を超える電流が流れ、変圧器付近の検知器が反応したと説明する。関電がトラブルを公表する基準は5段階あるが、今回は最も深刻な「レベル4」と判断した。
 営業運転は当初予定の3月下旬からずれ込む公算が大きい。当然である。徹底した原因究明と再点検を何より優先しなければならない。
 
 高浜3、4号機の「安全」については以前から懸念の声が強かった。30キロ圏には福井や滋賀、京都の3府県が含まれ、約18万人が暮らす。兵庫県は事故が起きた場合の避難先になる。政府は昨年12月に広域避難計画を了承したが、避難先を含めた全ての関係自治体が参加する訓練は実施されていない。
 昨年4月には福井地裁が3、4号機の再稼働差し止めの仮処分を決定した。その後、別の裁判長が決定を取り消したが、司法が一度は対策の甘さを指摘し差し止めを命じたこと、取り消し決定でも「絶対的な安全性は存在しない」とくぎを刺したことを重く受け止めねばならない。
 再び「安全神話」に陥らないよう慎重さが欠かせないが、関電は前のめりの姿勢が目立つ。背景には、原発停止で経営環境が悪化したことがある。電力小売り全面自由化に伴い、関電は高浜4号機の本格運転再開を前提に5月からの料金値下げの方針を発表していた。トラブルが続くようでは、見切り発車と言われても仕方がない。
 原子炉を再び起動させるには原子力規制委員会の検査をあらためて受けることになる。規制委は厳しい姿勢で臨むべきだ。
 
 
高浜原発 今すぐ廃炉 緊急停止トラブル 再稼働に抗議 関電東京支社前
しんぶん赤旗 2016年3月3日
 再稼働阻止全国ネットワークは2日、高浜原発(福井県)の再稼働に抗議し、同原発の廃炉を求める行動を、東京都千代田区の関西電力東京支社前で行いました。
 冷え込みのなか、「再稼働ゆるさん」などのプラカードを手にした参加者は「関西電力、原発やめろ」「高浜原発今すぐ廃炉」のコールを響かせました。
 
 柳田真共同代表は「高浜原発4号機が緊急停止したトラブルは、原発再稼働の危険性を明確に示した」と指摘。「3号機もただちに停止するとともに、1号機、2号機とともに廃炉にすべきです。高浜の地元の人々と連帯し、たたかっていこう」と訴えました。
 参加者が次々にマイクを握り訴えました。福島県郡山市から参加した女性は「関西の人たちに私たちと同じ苦しみを味わわせたくはありません」と語ります。
 川崎市から参加した男性(73)は「緊急停止によって、原発がいかに危険か改めて明らかになりました。3号機、4号機は運転開始から30年、1号機、2号機は40年以上です。今まで以上に強く抗議し、再稼働中止と廃炉を求めて行動していきたい」と話しました。