これによって既に稼働中であった3号機が停止させられるという画期的なものでした。
福井地裁(樋口英明裁判長)は昨年4月、高浜原発3・4号機の再稼働を禁止する画期的な仮処分決定を行いましたが、その異議審において、新たに着任した福井地裁の裁判長は昨年12月に原決定を取り消しました。
これは樋口裁判長が家裁に異動させられた上での決定の取消しであったので、再び司法が国や電力の主張を追認する姿勢に戻ったのだと落胆が広がりました。
そうした中での大津地裁の運転差し止め仮処分決定だったので、柏崎刈羽原発の運転差し止めを求めている原告たちは、「希望が見える判決だ」と今後の裁判への影響に期待を寄せました。
柏崎刈羽原発の地盤は、地下200~300mのところにある岩盤の上に 柔らかい地層が積み重なった「豆腐」状のため、2007年の中越沖地震では2058ガルという史上最大の加速度が実測されました。
しかしこの問題は活断層でなければ安全であるというものではなく、中程度の地震であっても2058ガルという強烈な加速度が原発の施設にかかるということ自体が既に大問題であるということです。現実に中越沖地震では発電施設の約3600個所が損壊し、地表には70センチもの段差も生じました。
また新たに設定された基準地震動2300ガルは実績値に対して余裕がなさすぎるし、元々の施設は450ガルで設計されているので、本当にそんな加速度に持つのかという問題があります。
大津地裁の決定が不十分だとしている規制基準に、単に杓子定規的に当てはめるというような審査は間違いです。
また新たに設定された基準地震動2300ガルは実績値に対して余裕がなさすぎるし、元々の施設は450ガルで設計されているので、本当にそんな加速度に持つのかという問題があります。
大津地裁の決定が不十分だとしている規制基準に、単に杓子定規的に当てはめるというような審査は間違いです。
新潟日報の記事を紹介します。
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原発の差し止め 県内訴訟へ影響も
柏崎原発の原告ら、期待と歓迎
新潟日報 2016年3月10日
「希望が見える判決だ」。関西電力高浜原発の運転を差し止める大津地裁の決定について、東京電力柏崎刈羽原発の運転差し止めを求めている本県訴訟の原告らは9日、今後の裁判への影響に期待を寄せた。
本県訴訟の原告で、福島県郡山市から新潟市に避難している女性(46)は「良かった」とほっとした様子。「再稼働した原発で大事故が起きて私たちと同じような被害者が出てしまったら、と気が気でなかった」と原発停止を歓迎した。
大津地裁は今回、耐震設計の在り方や避難計画にも疑問を呈した。本県訴訟の原告側弁護団長の和田光弘弁護士は「耐震設計のいい加減さはわれわれも主張してきたこと。避難計画の不合理さも指摘されている。本県への影響は大きいと思う」と評価した。
今回の決定は、高浜原発が立地する福井県の隣県、滋賀県の住民の訴えが認められたことも特徴だ。本県訴訟の原告で、柏崎刈羽原発から約70キロ離れた新潟市に住む男性(68)は「風向きによっては新潟市にも大きな被害が予想される。(同じ立場の)滋賀県住民の訴えが通じてうれしい」と喜んだ。
柏崎刈羽から半径5~30キロ圏の避難準備区域に入る長岡市で反原発運動に参加する女性(69)も「立地自治体以外で原発に反対する市民にとって一つの道になるのではないか」と期待した。
高浜3、4号機をめぐっては昨年4月、福井地裁も差し止めを決定したが、12月に別の裁判長が取り消した。柏崎市で反対の活動を続ける矢代和克さん(79)は「福井のようにならないことを願う」と心配する。
一方、原発再稼働に賛成の立場の柏崎市の会社社長男性(51)は、今回も決定が覆ることを期待する。「原発の専門家である原子力規制委員会の審査に合格した原発について、どうして専門家ではない裁判官が別の判断を出せるのか」と疑問を示した。
東京電力は「他社のことなので答えられる立場にない」とコメントした。