2016年3月24日木曜日

SPEEDIの使用 自治体に丸投げでいいのか

 原発過酷事故時の避難の際にSPEEDIを用いないという方針は、昨年4月に突如規制委が言い出しました。
 その理由はSPEEDIでの予測は正確ではなくて却って混乱を招くからというもので、実際に地域の放射能汚染が確認されてから「被曝しながら」避難すべきであるというものでした。不可解というしかありません。
 規制委はとってつけたような理由を述べているものの、要は規制委が避難に関しては具体的にかかわりたくないという意図だけが透けて見えます。
 
 南日本新聞が「SPEEDI 自治体に丸投げですか」とする社説を掲げました
 
   (関係記事)下記他多数
2015年4月20日 「SPEEDI」は使用せず 規制委が不可解な決定
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[SPEEDI] 自治体に丸投げですか
南日本新聞 2016年3月23日 
 「勝手にどうぞ、では困る」。原発を抱える自治体が政府に不満を漏らすのはもっともである。
 
 政府の原子力関係閣僚会議が、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の利用を自治体に認めた。全国知事会の要望を受け入れた格好だ。
 ただし、である。避難指示を出す政府は使わない。自治体の裁量で利用し、住民への説明も自治体でどうぞ、との姿勢だ。
 原子力規制委員会は先週、SPEEDIの予測に信頼性はないと結論づけた。事故時の住民避難に活用するのは弊害が多いとまで断言した。
 SPEEDIの信頼性をめぐり自治体と政府、規制委の意見は対立する。どちらを信じていいか、原発周辺の住民は戸惑うばかりだろう。原発事故が発生したときの混乱も予想される。
 鹿児島県では昨年、全国に先駆けて九州電力川内原発1、2号機が再稼働した。避難計画に不安を抱える住民を置き去りにしてだ。とても無関心ではいられない。
 だが、政府は肝心な点を曖昧にしたまま自治体に責任を丸投げした。いい加減な対応である。責任をもっと自覚すべきであろう。
 原発事故で放出された放射性物質の種類や量、風向きや地形などを基に拡散の仕方を予測する。これがSPEEDIだ。
 国費150億円を投じながら、東京電力福島第1原発事故では公表が12日後となり、役に立たないと批判された。遅れたのは予測に必要な放出量と、放出タイミングが分からなかったためだった。
 規制委は昨年、原子力災害対策指針を改定した。被ばくリスクの高い5キロ圏は事故直後に避難し、30キロ圏は屋内退避後、「実測」の放射線量に応じて避難する。SPEEDIは参考にもしない。
 「放射性物質の拡散が始まった後の避難では遅い」知事会の言い分である。昨年7月、SPEEDIの活用を政府に提言した。
 知事会で危機管理・防災特別委員長を務める泉田裕彦新潟県知事は、SPEEDIの使用を一貫して求めてきた。お膝元では東電の原発2基が再稼働を待つ。政府が歩み寄ったとされる背景だ。
 原発2基の運転を今月差し止めた大津地裁は、国主導での避難計画が急務と指摘した。司法の危機感に比べて政府はどうか。
 SPEEDI活用で丸川珠代原子力防災担当相は、「自治体と国で協力できる体制をつくることが重要」と発言した。どこか人ごとのように聞こえる。
 SPEEDIの信頼性に答えを出すのが先だ。