政府は11日、原子力関係閣僚会議を開き、原発事故時の避難経路の選択のため、大気中の放射性物質の拡散を予測するSPEEDIの予測情報を自治体が裁量で使用することを認めました。
SPEEDIは放射性物質の拡散を予測するために120億円を投じて開発されたものですが、原子力規制委が突然昨年4月に、「風速や風向きなど天候次第で放射性物質が拡散する地域が変わり予測が困難であるために、SPEEDIで汚染状況を予測するのは無理である」として、使用しないことを決め、代わりに実測値に基づいて避難するということにしたものです。
風向、風速が変化すれば拡散状況が変わるのは当たり前のことで、気象予報の情報を入力して最大限正確を期そうとするSPEEDIの方式が現時点で最善であることは言うまでもありません。
此度規制委の不可解な決定が遅ればせながら改められたのは前進でした。
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原発事故時のSPEEDI使用認める 自治体に裁量-政府方針
時事通信 2016年3月11日
政府は11日、原子力関係閣僚会議を開き、全国知事会が要請していた原子力災害対策の拡充に向けた対応方針を決めた。原発事故時の避難経路の選択のため、大気中の放射性物質の拡散を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を自治体が裁量で使用することを認めた。
SPEEDIをめぐっては、東京電力福島第1原発事故の際に活用されず、情報不足から放射線量の高い地域に避難してしまった住民から批判を受けた経緯がある。
原子力規制委員会は、原子力災害対策指針(防災指針)で、実際の放射性物質の放出量などが分からないと拡散予測は難しいとし、避難の判断には使用しない方針を示している。ただ今回の対応方針では、自治体からの強い要望を踏まえ、事故時に自治体が参考情報として使用することを認めた。
原発事故の際に甲状腺被ばくを低減させる安定ヨウ素剤の事前配布についても、従来認めていた原発から半径5キロ圏内だけでなく、圏外の住民に対し、自治体の判断で平時に事前配布できることとした。