現在、児童の甲状腺がんの調査は福島県内に限定されていますが、本来は栃木県北部など少なくとも福島県に隣接する県外地域でも行われるべきです。
しかしながら国はそうした方向には何の動きも見せません。これについては、かつて福島県民健康調査検討委員会で、県外地区では児童の甲状腺がんの調査は不要なのかがテーマになったときに、ある委員から「放射能は同心円状に広がる。従って遠隔の地域では危険はなくなるので不要」という、まことに珍妙な意見が出されて傍聴席から憤激の声が上がったほどでした。
これまで栃木県北部で民間の甲状腺検査を実施してきた「311『つながる、つたえる、そして未来へ』集い実行委員会」の主催で、27日大田原市で、子どもたちの甲状腺がんをテーマにしたシンポジウムが開かれます。
講師の一人は、疫学的見地から福島県児童の甲状腺がんの高率な発生は放射線被曝によるとする見解を発表している岡山大環境生命科学研究科の津田敏秀教授です。
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原発事故 県北での甲状腺検査 立場異なる識者が大田原で討論(栃木)
東京新聞 2016年3月22日
東京電力福島第一原発事故の健康影響について考えるシンポジウムが二十七日、本町の市総合文化会館で開かれる。福島県で増加が懸念されている子どもたちの甲状腺がんをテーマに、有識者二人の講演と討論を通して、放射線への理解を深める狙い。
主催するのは、住民団体「311『つながる、つたえる、そして未来へ』集い実行委員会」。子どもの健康が不安な保護者のため、栃木県北部で民間の甲状腺検査や講演会を実施してきた。
福島県では、放射性物質がたまりやすい甲状腺に異変がないか調べるため、事故当時十八歳以下だった人に、国費で定期検査を保障している。栃木県内にも実施を求める声があるが、事故から丸五年が過ぎても実現していないことから、こうした場が設定された。
パネリストとして参加するのは、放射線医学が専門で国際医療福祉大クリニック(大田原市)の鈴木元(げん)院長と、疫学を専門とする岡山大大学院環境生命科学研究科の津田敏秀教授。
鈴木氏は放射線による健康影響を議論する栃木県の有識者会議で座長を務め、県内は即時に甲状腺検査を行うほど切迫した状況にないとの立場。一方の津田氏は、栃木県などの周辺地域でも福島県並みの検査態勢を敷くべきだとしている。
午後一時~四時半。資料代千円。原発問題を積極的に取り上げている非営利のインターネット放送局「OurPlanet-TV(アワープラネット ティービー)」(東京都千代田区)の白石草(はじめ)代表が司会を務める。