2016年7月13日水曜日

高浜原発3・4号機 運転認めず 大津地裁異議審

 高浜原発福井県4号機について、大津地方裁判所は原発の新規制基準が致命的な事故を避けるための対策として十分とは言えない」として、ことし3月に運転停止を命じた仮処分の決定に対する異議審において、再び運転を認めない判断を下しました。
 
 高浜原発に関しては、昨年4月14日にも福井地裁の樋口英明裁判長(当時)が高浜原発再稼働差し止めの仮処分を決定しました。しかし、樋口裁判長はその後名古屋家裁に“左遷”され、後任には最高裁事務総局の覚えがめでたい超エリートの裁判長(林潤氏)他が送り込まれ、昨年12月24日に高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを覆し、再稼働が決定されるという経緯がありました。
 そうしたあからさまな最高裁の意思を知りながらも、大津地裁山本善彦裁判長は勇気のある決断をしました。
 高浜3、4号機は来月から核燃料を取り出す作業を行うことにしています
 
 仮処分の決定は正式な裁判で結論が示されるまでの暫定的なものであり、関西電力が抗告すると大阪高等裁判所で改めて審理され大阪高裁が出す決定に対してどちらかに不服がある場合、最高裁判所に抗告することになります。
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高浜原発差し止め、異議認めず 2基の運転禁止継続、大津地裁
東京新聞 2016年7月12日
 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを命じた3月の仮処分決定について、大津地裁(山本善彦裁判長)は12日、関電が取り消しを求めて申し立てた異議を退ける決定をした。仮処分の効力が今後も維持されることになり、2基は法的に運転できない状態がさらに続くことになった。
 
 関電は決定を不服として大阪高裁に抗告する方針。6月には仮処分の効力を一時的に止める執行停止の申し立ても地裁が退けており、関電は運転禁止の期間が長期化する可能性があるとして2基の燃料を8月に取り出すと既に表明している。
 山本裁判長は3月の決定や、執行停止申し立ての却下決定も担当。(共同)
 
 
高浜原発3・4号機 再び運転認めず 大津地裁
NHK NEWS WEB 2016年7月12日
福井県にある高浜原子力発電所の3号機と4号機について、大津地方裁判所は「関西電力の説明では、原発の新規制基準が致命的な事故を避けるための対策として十分とは言えず、新規制基準で許可を受けたこと自体で安全性が確保されたとみることはできない」として、ことし3月に運転停止を命じた仮処分の決定に続いて、再び運転を認めない判断をしました。これにより高浜原発3・4号機は再稼働できない状態が続くことになります。
 
福井県にある高浜原発3号機と4号機について、大津地方裁判所はことし3月、稼働中の原発では初めて運転の停止を命じる仮処分の決定を出しました。これに対し、関西電力は決定の取り消しを求めて異議を申し立て、大津地裁の同じ裁判長が改めて関西電力と運転停止を求めた住民の双方から意見を聞く手続きを行いました。
12日の決定で、山本善彦裁判長は「災害のたびに『想定を超える災害だった』と繰り返されてきた過ちに真摯(しんし)に向き合うならば、致命的な事故を避けるための対策を講じることが必要だが、関西電力が説明した程度では、原発の新規制基準がこのような対策として十分とは言えない」と指摘しました。そのうえで、「福島の原発事故の原因に関する説明も不足しており、新規制基準で許可を受けたこと自体で安全性が確保されたとみることはできない」として、関西電力の申し立てを退け、3月の決定に続いて再び運転を認めない判断をしました。
これで高浜原発3・4号機は再稼働できない状態が続くことになり、関西電力は今の状態が長期化する可能性があるとして、来月から核燃料を取り出す作業を行うことにしています。
関西電力は決定を不服として、大阪高等裁判所に抗告する方針です。
 
関西電力 承服できるものではない
異議の申し立てが退けられたことについて、関西電力は「当社の主張をご理解いただけず誠に遺憾であると考えており、到底、承服できるものではありません」というコメントを発表しました。そのうえで、関西電力は「速やかに不服申し立ての手続きを行い、早期に仮処分命令を取り消していただくよう、高浜原発3・4号機の安全性の主張・立証に全力を尽くします」としています。
 
今後の手続き
関西電力の異議申し立てが退けられたことで、高浜原発は再稼働できない状態が続きます。
仮処分の手続きは、正式な裁判をしていると時間がかかって間に合わない緊急の場合などに使われるもので、決定が出ると、ただちに効力が生じます。ことし3月の決定で高浜原発は運転を停止しなければならなくなり、今回、異議の申し立ても退けられたため、再稼働できない状態が続きます。
関西電力が抗告すると大阪高等裁判所で改めて審理されますが、判断が覆らないかぎり、運転停止の効力は続きます。今後、大阪高裁が出す決定に対して、どちらかに不服がある場合、最高裁判所に抗告することができます。
仮処分の決定は正式な裁判で結論が示されるまでの暫定的なものとされていて、今後の判断によっては、さらに裁判で争われる可能性もあります。