2016年7月14日木曜日

老朽原発 高浜1、2号機の 60年への運転延長は許されない

 高浜原発34号機については、再稼働差し止めの異議審で運転差し止めが再決定されたばかりですが、稼働40年を超えた原発12号機の運転をさらに20年延長させるのは危険だとして、住民たち76人が運転延長認可の差し止めを国に求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、名古屋地裁で開かれました
 
 規制委は提訴後の6運転期間の延長を認めたため、国側は「訴えの利益がなくなった」と請求の却下を求めました。それに対して住民らは請求趣旨を認可の取り消しに変更する方針です
 訴状によると、高浜1、2号機は電気ケーブルの劣化で過酷な事故が起きた時に制御できなくなるほか、中性子を長年浴びてもろくなっている原子炉圧力容器が、急激な温度変化に耐えられずに壊れる恐れがあると主張し、新規制基準や規制委の審査も不明確だとしています
 
 当初は30年が使用の限度とされていた原子炉圧力容器がいつの間にか40年に延長され、さらに強度上の根拠も明らかにされないままで60年に延長されることは許されません。
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「老朽原発差し止めを」 高浜1、2号機訴訟で住民側
東京新聞 2016年7月13日 
 稼働四十年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の運転をさらに二十年延長させるのは危険だとして、福井など十四都府県の住民七十六人が原子力規制委員会による運転延長認可の差し止めを国に求めた訴訟の第一回口頭弁論が十三日、名古屋地裁(市原義孝裁判長)であり、国側は争う姿勢を示した。
 
 規制委は提訴後の六月、最長二十年の運転期間の延長を認めており、国側は「訴えの利益がなくなった」と請求の却下を求めた。住民らは請求趣旨を認可の取り消しに変更する方針
 この日は、弁護団長の北村栄弁護士が意見陳述し「全国の原発が停止しても節電の必要性がない中、老朽原発を動かしたいと思う市民はどれだけいるのか。裁判官は市民感覚を発揮してほしい」と訴えた。
 続いて原告四人が意見陳述。「原子力規制を監視する市民の会」の阪上武代表は「関電は規制委の審査を通すため、地震の際に原発にかかる力を小さく見せ掛けようと根拠の定かでない数値を持ち出し、規制委も耐震試験の結果を見ないまま延長を認めた」と批判。
 福島第一原発事故で福島県から岐阜県に自主避難した女性は、避難先で娘が不登校に悩んだり、ストレスからか歯が一挙に五、六本抜けたりしたと打ち明け、「私たちのような被害を二度と出さないで」、二人の子どもを持つ名古屋市の女性は「原発から南東百三十キロにある名古屋は偏西風の風下地域で、福島のような事故があれば大きな影響を受ける。一番の心配は子どもの健康被害だ」と訴えた。
 
 訴状によると、高浜1、2号機は電気ケーブルの劣化で過酷な事故が起きた時に制御できなくなるほか、中性子を長年浴びてもろくなっている原子炉圧力容器が、急激な温度変化に耐えられずに壊れる恐れがあると主張。新規制基準や規制委の審査も不明確だとしている。
 
 原発は四十年廃炉が原則だが、規制委は六月二十日、稼働四十年超の原発で初めて高浜1、2号機の運転延長を認めた。3、4号機は今年、いったん再稼働したが、大津地裁が三月、仮処分決定で運転差し止めを命じ、今月十二日には関電の異議を退ける決定を出し、運転を停止している。