大飯原発の基準地震動について、過小評価の恐れを指摘した前規制委員長代理の島崎邦彦氏(東大名誉教授)は、15日記者会見して、規制委が13日に発表した再計算結果も「過小評価は間違いない」として、規制委に計算のやり直しを再び求めました。
島崎氏は在職中に大飯原発の基準地震動の審査にも関わりましたが、熊本地震後に検証したところ、当初使用した「入倉・三宅式」が不適切であったことに気付いたということです。
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「再計算でも過小評価」前委員長代理
毎日新聞 2016年7月15日
関西電力大飯原発(福井県)で想定する地震の最大の揺れ(基準地震動)について、過小評価の恐れを指摘している原子力規制委員会の前委員長代理の島崎邦彦氏(東大名誉教授)は15日、東京都内で記者会見し、「過小評価は間違いない」とし、規制委に計算のやり直しを再び求めた。規制委は13日に再計算結果を示し、過小評価はないとの見解を発表したが「再々計算」を求められた格好だ。
規制委の田中俊一委員長は同日の記者会見で「(島崎氏は再計算の)結果を見て非常に安心したと言っていたとの報告を(事務方から)受けた」と述べたが、島崎氏は「自分は納得しておらず、誤解だ」として、急きょ反論の会見を開いた。
規制委は、再計算では最大で644ガル(ガルは加速度の単位)で、基準地震動の856ガルを下回ったとしていたが、島崎氏は「関電と同様の設定で計算すべきなのに、されていない」と指摘。「関電の計算結果に比べて約6割と過小評価になった。補正すべきだ」と述べた。
補正したうえで「不確かさ」を加味すれば、結果は推定で最大1500ガル超となるという。東京電力福島第1原発事故後の安全評価(ストレステスト)で、炉心冷却が確保できなくなる下限値として関電が示した1260ガルを上回る。
田中委員長らは19日、島崎氏から意見を聞いたうえで20日の定例会で対応を検討する。島崎氏は2012年の規制委発足当初から2年間、原発再稼働の前提となる安全審査で、耐震審査を担当。大飯原発の基準地震動の審査にも関わったが、在職中は計算式の不適切さに気付かなかったという。【高木昭午、岡田英】
【ことば】基準地震動
原発で想定する最大の地震の揺れ。耐震設計をする際の基になる。過去に起きた地震の精査、敷地周辺の活断層やプレート間地震で考えられる最大クラスの連動、別の場所で過去に観測された大きな地震なども考慮して策定される。単位は加速度の大きさを示すガル。