福島原発事故の自主避難者に対する住宅無償提供を来年3月で打ち切る福島県の方針の撤回を求める2団体と県の初の話し合いが8日、行われました。
支援制度などを伝える県の戸別訪問について、団体側は「打ち切りありきで被災者と接している」と手法を問題視しました。
県の担当者は「戸別訪問では心理的不安を与えないようにする」としたものの、「避難区域外では生活環境が整いつつある」などと述べて、住宅無償提供を来年3月で打ち切る方針は撤回しませんでした。 2団体と県は今後も話し合いを続けることになっています。
それとは別に、関西に避難した被災者や支援団体メンバーらが9日、大阪市内で避難の現状を報告する集会を開きました。参加者は約200人で、集会の中で、日本では「避難の権利」※が認められていないと政府の姿勢を非難する発言がありました。
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原発避難者 住宅無償提供の継続求める
河北新報 2016年7月9日
東京電力福島第1原発事故の自主避難者に対する住宅無償提供を来年3月で打ち切る福島県の方針を巡り、撤回を求める被災者関連2団体と県の初の話し合いが8日、福島市であった。支援制度などを伝える県の戸別訪問について、団体側は「打ち切りありきで被災者と接している」と手法を問題視した。
2団体は「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」と「原発事故被害者団体連絡会」。団体側が求めた話し合いには、全国に避難する約30人が出席した。
戸別訪問は5月中旬、それまでの意向調査で「来春以降の住居が未定」とした世帯などを対象に開始。県は「77%が完了した」と説明した。
被災者側は「職員が訪ねてくるなり『(無償提供は)3月まで』と切り出したケースもある。追い出しとしか思えない」と反発。訪問時の不在世帯が完了割合に含まれていることも問題として「被災者に寄り添っていない」と指摘した。
県の担当者は「戸別訪問では心理的不安を与えないようにする」と説明。打ち切り方針は変わらず「避難区域外では生活環境が整いつつある」などと理由を述べた。2団体と県は今後も話し合いを続ける。
原発避難者が支援呼び掛け、大阪 現状報告の集会
東京新聞 2016年7月9日
東京電力福島第1原発事故で関西に避難した被災者や支援団体メンバーらが9日、大阪市内で避難の現状を報告する集会を開き、参加者約200人に支援を呼び掛けた。
支援者らは、自主避難者への住宅支援の打ち切りや避難者の孤立化などの問題点を指摘。「避難の協同センター」事務局長の瀬戸大作さんは「金銭的な貧困だけではなく、つながりの問題も抱えている」と話した。
福島県内から京都、大阪両府や兵庫県に避難した被災者も現状を訴えた。福島県郡山市から子ども2人とともに大阪市内に避難中の森松明希子さん(42)は、「避難し続けたい人の権利も守られるべきだ」と語気を強めた。(共同)