25団体が声明
原子力規制委は20日、大飯原発の基準地震動の計算方法について議論をやり直すことを決めました。元規制委委員長代理の島崎邦彦氏の指摘に基づいて規制庁が再計算したものの、その計算結果がおかしいと島崎氏から再度指摘を受けたことに対応したものです。
規制委と関電とで同じ「入倉・三宅式」を使いながら基準地震動の計算結果が一致しないことも、その後報じられました(しんぶん赤旗21日付)。そういうことでは関電の計算値を審査時に承認した規制委が、一体どのようにチェックしたというのか何も信用することなどできません。
20日、「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」など25団体が、規制委に対して「大飯原発の再稼働は断念を!美浜原発3号の寿命延長は断念を!ー 川内原発を止め、伊方3号の原子炉起動を中止して全ての原発の基準地震動を武村式で再計算すべき」とする声明を出しました。
声明では、「入倉・三宅式」を「武村式」に変えて計算すれば基準地震動は1.81倍になるし、震源地の大きさ(Mo)から基準地震動を算出するに当たり、現行では1/3乗を適用しているが、それを片岡らの1/2乗式(1.47倍となる)を用いれば地震動はさらに大きくなるとしています。
規制委は今度こそ十分に納得のできる正確な解明と再計算を行って汚名を挽回すべきです。
注)下記の声明は「弁護士・金原徹雄のブログ」20日付から転載しました。
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[共同声明] 入倉・三宅式の過小評価を熊本地震が証明
武村式を用いた規制委の試算を適用すれば
大飯原発3・4号の基準地震動は、856ガルから1,550ガルへ
クリフエッジ1,260ガルを超えて、地震に耐えられず大惨事に
(注.クリフエッジ:崖っぷち)
大飯原発の再稼働は断念を!美浜原発3号の寿命延長は断念を!
川内原発を止め、伊方3号の原子炉起動を中止して
全ての原発の基準地震動を武村式で再計算すべき
2016年7月20日
島崎邦彦氏は、熊本地震を踏まえて「入倉・三宅式では地震動は過小評価」との警告を発し、原子力規制委員会・規制庁は7月13日に、大飯原発の地震動を武村式で再計算した結果を公表した。
その結果は、基本ケース(破壊開始点3)で、東西方向の揺れは入倉・三宅式による356ガルが、武村式を適用すると644ガルとなった。原発の津波評価で採用している武村式を地震動に適応すれば、1.81倍になることを示している。大飯原発の基準地震動856ガルは1549ガルになり、クリフエッジを超えるため大惨事となる。
大飯原発だけでなく、入倉・三宅式で計算されている現行の基準地震動を1.81倍すれば、美浜3号もクリフエッジを超え、高浜原発や玄海原発でもクリフエッジに近づく。
さらに、震源の大きさ(M0)から地震動(加速度)を導く場合、M0の1/3乗を適応しているが、これは単なる仮定であり、片岡ほかの1/2乗を採用すればさらに地震動は大きくなる。
原 発
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入倉・三宅式による現行の最大加速度:ガル
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1.81倍した場合の
加速度:ガル
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クリフエッジ※
加速度:ガル
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大飯原発
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856
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1,549
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1,260
| |
美浜3号
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993
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1,797
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1,320
| |
玄海3・4号
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524
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948
|
988
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高浜3・4号
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396
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717
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973
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※)クリフエッジ(崖っぷち):これを超えると炉心の冷却ができなくなり大惨事にいたる地震動
規制委の田中委員長は、7月19日に島崎氏と面談し、自らの再計算結果について「無理を重ねて計算した」「信用できるものではない」等と述べたが、これほど無責任なことがあるだろうか。島崎氏が述べているように、関電の示している基本ケース(破壊開始点3)の東西方向の揺れ596ガルに対して、規制委の356ガルはあまりに過小であるが、このことについての明確な説明もできなかった。さらに、規制庁の小林勝氏は、7月13日の記者会見で、武村式の適用を「不確かさ」として位置付けている。しかし、式そのものを変えることは「不確かさ」ではない。現行の不確かさの全てのケースで用いている入倉・三宅式を武村式に置き換えた計算をすべきだ。これら詳細なデータを規制委が示さない限り、入倉・三宅式の1.81倍の加速度になることを受け入れなければならない。
規制委は自らの再計算結果に基づき、大飯原発、美浜原発3号の再稼働を断念すべきだ。同時に、川内原発を停止し、伊方3号の原子炉起動を中止して、全ての原発の基準地震動を武村式で再計算すべきだ。
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(他 全25団体 以下省略)