ずさんな管理が相次いで問題となった高速増殖炉「もんじゅ」でまた点検ミスが発覚しました。
原子炉を冷やすナトリウムを管理する補助施設については今年3月までに点検する計画でしたが、期限が来ても点検が行われませんでした。それでそのことを知らせる警報が出たのですが、同施設を管理する原研開発機構の職員はなぜか2カ月間放置していました。
高速増殖炉では熱伝達媒体に液体ナトリウムが用いられますが、それは水に接触すれば爆発し、空気に触れれば燃焼するという非常に危険なものなので、一旦事故が起きればもう手の施しようがありません。従ってナトリウムの管理をおろそかにするということは、およそ考えられないことです。
同機構はこれまで点検漏れ・点検ミスでさんざん批判されたにもかかわらず、一向に改まらなかったのでついに運転を禁止された経緯があるというのに、何故改善が見られないのでしょうか。
実は同機構による運転管理を禁止して別の組織に運転管理させるというのは表向きのことで、実際には組織の名称が変わるだけで同じメンバーが担当することになるだろうと言われています。それがこんな有様では、「看板の掛け替え」だけで運転管理を継続させるなど論外です。
なお、「もんじゅ」については、原子力規制委から廃炉を含めて検討するように言われた筈ですが、朝日新聞によれば、馳浩文科相は20日、同社のインタビューに応じて、「もんじゅ」は「動かすことが前提」で「廃炉という選択肢は現段階でまったくない」、「運営主体をどこにするかがまだ固まっていない」だけだ、と述べた(要旨)ということです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「もんじゅ」に再び点検ミス しかも2カ月間放置
テレビ朝日ニュース 2016年7月22日
ずさんな管理が相次ぎ、廃炉も含めた議論が行われている福井県の高速増殖炉「もんじゅ」でまた点検ミスが発覚しました。
もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構などによりますと、点検ミスが見つかったのは原子炉を冷やすナトリウムを管理する補助施設です。機構はこの施設を今年3月までに点検する計画を立てていましたが、期限が来ても点検が実施されませんでした。このため、施設のシステムが警報を発していましたが、職員は警報に気が付きながら2カ月間、放置していたということです。機構は「原因究明と再発防止に努めたい」と話しています。もんじゅは相次ぐ点検ミスなどから、2013年に原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けていました。その後も保安検査で安全性の根幹に関わるミスが相次ぎ、現在は政府内で廃炉も含めた議論が進められています。