2019年1月20日日曜日

20- 事故も事件もなかったかのように振る舞う人びと(櫻井ジャーナル)

 櫻井ジャーナルが福島原発を取り上げましたので紹介します。
 興味深い内容が記されています。
 
 記事の最後のところで、会社、警察、検察、マスコミなどが「事件がなかったかのように振る舞い始めている」事件として、NGT48でメンバーに対する襲撃事件を取り上げています
 櫻井ジャーナルは、これまでも同事件について何故かかなり詳細に報じていますので、興味のある方は下記にアクセスしてください。
           1月19日)  姿が見えなくなった襲撃事件の被害者
           (1月14日) 封印し損なったアイドル襲撃事件
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事故も事件もなかったかのように振る舞う人びと
櫻井ジャーナル 2019年1月19日
 東京電力の福島第1原発で炉心溶融の大事故が起こったのは8年前の2011年3月11日。巨大地震が原因だ。内部の詳しい状況は不明だが、溶けた燃料棒を含むデブリが格納容器の底部へ落下、地中へ潜り込んでいる可能性もある。勿論、コントロールなどできていない。
 イギリスの​タイムズ紙はこの原発を廃炉するまでに必要な時間を200年だと推定していた。日本政府は2051年、つまり32年後までに廃炉させるとしていたが、数百年はかかるだろうと考えるのが常識的な見方だ。つまり日本政府は非常識だということになる。廃炉作業が終了したとして、その後、10万年にわたって放射性廃棄物を保管する必要があると言われている。
 しかし、日本では政府だけでなく有力メディアも原発事故がなかったかのように、放射性物質の影響はないかのように振る舞っている。事故を意識せずに生活している日本人は少なくないだろう。
 
 衆議院議員だった徳田毅は事故の翌月、2011年4月17日に自身の「オフィシャルブログ」(現在は削除されている)で次のように書いていた:
 3月12日の1度目の水素爆発の際、2km離れた双葉町まで破片や小石が飛んできたという。そしてその爆発直後、原発の周辺から病院へ逃れてきた人々の放射線量を調べたところ、十数人の人が10万cpm1670ベクレルを超えガイガーカウンターが振り切れていたという。それは衣服や乗用車に付着した放射性物質により二次被曝するほどの高い数値だ。」
 事故当時に双葉町の町長だった井戸川克隆によると、心臓発作で死んだ多くの人を彼は知っているという。セシウムは筋肉に集まるようだが、心臓は筋肉の塊。福島には急死する人が沢山いて、その中には若い人も含まれているとも主張、東電の従業員も死んでいるとしている。
 言うまでもなく徳田毅は医療法人の徳洲会を創設した徳田虎雄の息子で、医療関係差には人脈があり、これは一種の内部告発。これだけ被曝して人体に影響がないとは考えられない。政府も東電、おそらくマスコミもこうした情報を持っていたはずだ。
 その後、徳田毅は2013年2月に国土交通大臣政務官を辞任、11月には姉など徳洲会グループ幹部6人を東京地検特捜部が公職選挙法違反事件で逮捕、徳洲会東京本部や親族のマンションなどを家宅捜索した。徳田は自民党へ離党届を提出、14年2月に議員を辞職している。
 
 徳田の告発とリンクした話がアメリカでも明らかになっている。3月12日には1号機で爆発があり、14日には3号機も爆発、15日には2号機で「異音」がり、4号機の建屋で大きな爆発音があったとされている。
 その後、建屋の外で燃料棒の破片が見つかるのだが、この破片についてNRC(原子力規制委員会)新炉局のゲイリー・ホラハン副局長は2011年7月28日に開かれた会合で語っている。発見された破片は炉心にあった燃料棒のものだと推測するというのだ。マンチェスター大学や九州大学の科学者を含むチームは原子炉内から放出された粒子の中からウラニウムや他の放射性物質を発見している。
 事故は地震が原因だったとはいえ、地震国である日本で地震が起こるのは当たり前。その対策を回避してきた政治家、官僚、そして電力会社には重大な責任がある。東京電力がすべての損害の賠償をするのは当然のことだが、その責任は大幅に減免された。
 
 責任回避に成功した彼らは原発の再稼働を目論む。そのひとつが東電の柏崎刈羽原発だが、泉田裕彦知事(2004年から2016年)は「福島事故の検証なしに再稼働の議論はしない」と言い続けた。
 泉田は2016年の選挙にも立候補する意向を示していたが、地元の新潟日報が中古フェリー購入に関する疑惑を報道、泉田はその報道を否定したが、立候補を撤回した。
 この選挙で当選した米山隆一は知事になってから再稼働に反対、県独自で福島第1原発事故などの検証作業を進めるのだが、2018年4月に週刊文春が知事の女性問題に関する記事を掲載、それが原因で辞任する。
 2018年の選挙は事実上、自民党と公明党が支持する花角英世と立憲民主党などが推薦する池田千賀子の争いになったが、原発の再稼働や安倍晋三政権の政策について語らなかった花角が当選した。
 柏崎刈羽原発の再稼働を目指してきた東京電力ホールディングスなどにとって好ましい結果だったのだろうが、再稼働が実現するかどうかは不明だ。この原発は2007年7月の新潟県中越沖地震で施設が壊れ、危険な状態だったと言われている。福島第1原発の事故がなかったかのように考えられない新潟県民は少なくないようで、原発の再稼働に反対する声は小さくない。
 
 そうした騒動の中、2015年に新潟を拠点とする「アイドル・グループ」としてNGT48は設立される。マーケットの規模が大きくないこともあり、その当時、新潟が選ばれたことに首をかしげる人もいた。
 そのNGT48でメンバーに対する襲撃事件が引き起こされたのだが、会社、警察、検察、マスコミなどは、その事件がなかったかのように振る舞い始めている。