2019年1月26日土曜日

被ばく線量の早野論文 国が使用中止に

 福島県伊達市の住民の個人被ばく線量を分析した早野龍五東京大名誉教授らの論文に本人の同意がないデータが使われていた問題で、国の放射線審議会は25日、放射線基準を検証する資料に引用していた同論文を削除しました。
 同論文は16年に英専門誌に掲載されましたが、その後累積被曝量の計算で、実際の値のほぼ1/3になっていることが明らかになり、修正が求められていました。
 
 これまでこの論文、空間放射線量から推計される値に比べ、実際の被ばく線量が低いことを示す根拠とされていたということなので、削除は当然で大いに罪深いといえます。
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被ばく線量の分析論文 住民の同意得ずデータ利用 国が使用中止
NHK NEWS WEB 2019年1月25日
東京電力福島第一原子力発電所の事故による福島県の住民の被ばく線量について、東京大学の名誉教授らが住民の同意を得ていないデータを基に論文を発表していた問題を受け、国の放射線審議会は、事故の際の被ばく防止策の検討の中でこの論文を使用するのを取りやめました。
 
東京大学の早野龍五名誉教授らが3年前とおととしに発表した福島県伊達市の住民の被ばく線量を分析した論文では、全体の半分近くにあたる2万7000人余りのデータが、本人の同意を得ないまま利用されていたことが明らかになりました。
この論文について、国の放射線審議会は去年から、原発事故の際に住民が被ばくするのを防ぐための考え方の案を検討するのに使用してきましたが、研究の正当性が疑問視されるようになったとして、この論文の使用を取りやめました。
 
検討されていた案では、この論文を、空間放射線量から推計される値に比べ、実際の被ばく線量が低いことを示す根拠としていましたが、これ以外の論文も根拠となっていたため、結論に影響はないとしていて、案は25日におおむね了承されました。