2019年1月21日月曜日

21- 英、原発凍結で地元経済への影響懸念 中国紙は中国が穴を埋めると

 17日、日立が英原発建設計画の凍結を決めましたが、これは昨年11月、東芝が原発事業から撤退を表明したことに続くもので、EU離脱後の投資呼び込みにと原発の建設に期待していた英国にとっては大打撃です。
 メディアは9000人規模の雇用を見込んでいた地元経済への逆風」と伝えています(時事通信)
 
 一方、中国紙Record China20日「今後は中国企業の中国広核集団有限公司が日本企業の『撤退』により生まれた穴を埋めていくだろう」と伝えました。
 中国は2015年10月以降、フランス電力公社と英国政府で3カ所の原発建設プロジェクトの契約に署名していて意気軒高のようです
 
 二つの記事を紹介します。
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英、地元経済への影響懸念 メディアは一斉に速報
時事通信 2019年1月17日
 【ロンドン時事】日立製作所が英原発建設計画の凍結を決めたことについて、英国のクラーク民間企業・エネルギー相は17日の議会で「計画を前に進めることで合意に至らなかった」と説明した。英メディアは日立の決定を一斉に速報で伝え、「何千もの雇用が失われる可能性がある」(公共放送BBC)と地元経済への影響の大きさを報じた。
 
 英国では昨年11月、東芝が原発事業から撤退を表明しており、原発計画が相次いで暗礁に乗り上げた。ガーディアン紙は「英国のエネルギー政策と欧州連合(EU)離脱後の投資呼び込みにとって打撃だ」と指摘。民放スカイニューズも「9000人規模の雇用を見込んでいた地元経済への逆風」と伝えた。
 
 原発計画の経済効果を期待していた地元にも落胆の声が広がった。地元アングルシーの自治体は声明で「深い失望と懸念」を表明。地元選出のオーウェン下院議員は「地元、ウェールズ、英国経済にとって大きな打撃だ」と訴えた。 
 
 
日立が英国の原発建設計画を凍結、中国企業が攻勢強める—中国メディア
Record China  2019年1月20日
18日、中国メディアの観察者網は、日立製作所が英国での原発建設計画の凍結を発表したことを受けて、「中国企業が英国での原発建設を加速させ、日本企業の『退場』により生まれた空白を埋めるだろう」と伝えている。
2019年1月18日、中国メディアの観察者網は、日立製作所が英国で進めていた原子力発電所の建設計画の凍結を発表したことを受けて、「今後は中国企業が英国での原発建設を加速させ、日本企業の『退場』により生まれた空白を埋めるだろう」と伝えている。
 
毎日新聞は、英国での原発建設計画について「安全対策費の増加などから総事業費が当初想定を大幅に上回る3兆円規模に拡大。英政府が2兆円超を融資し、残る9000億円については、日本の政府・企業、英政府・企業が3000億円ずつを、日立が残りの3000億円を負担することを想定していた」と報道。しかし、「採算性の確保が見通しづらいことなどを背景に、当初、パートナーと期待していた東京電力ホールディングスなど国内民間企業からの出資集めが難航した」と伝えている。
 
日立が17日に開いた記者会見で、東原敏昭社長は計画凍結の理由について「英国政府から追加出資の意思が示されなかった」「予算が限界に達していた」などと説明。日立はこれまで資産として計上していた原子炉などの開発費が価値を生まなくなったとして、約3000億円を損失として計上。毎日新聞は「安倍政権がインフラ輸出の柱に掲げてきた『日の丸原発輸出』の頓挫が鮮明になる」と報じている。
 
記事は、「2011年に福島第一原発で起きた事故の後、日本国内では新たな原発の建設が難しいなか、海外での受注を通して原発関連産業の技術力を維持する狙いがあった。しかし2016年以降、日本企業の原発に関わる『喜ばしくないニュース』が続いている」と報道。三菱重工はトルコの原発建設計画から建設費の高騰を理由に撤退し、東芝も英国の原発建設事業から撤退。今回、日立が英国での原発建設計画を凍結させたことで、日本国内の原発輸出プロジェクトは「ゼロになった」と伝えた。
 
記事は、英ロイター通信による報道を引用し「今後は中国企業の中国広核集団有限公司が日本企業の『撤退』により生まれた穴を埋めていくだろう」と伝えている。2015年10月以降、同社はフランス電力公社と英国政府で3カ所の原子力発電所建設プロジェクトの契約に署名した。これにはヒンクリー・ポイントCプロジェクト、サイズウェルCプロジェクト、ブラッドウェルBプロジェクトが含まれる。ブラッドウェルBプロジェクトでは中国自主開発の第三世代原発技術「華竜1号」を採用することが予定されており、本プロジェクトの開発・建設は中国広核集団有限公司が主導し、フランス電力公社が協力するとしている。
 
英紙ガーディアンによれば、日立と東芝の撤退により生まれた「原発プロジェクトの空白」は英国エネルギー需要の15%を占めるという。(翻訳・編集/和田)