2019年1月19日土曜日

原子力政策は行き詰まっている

 日立17日、英国で進めてきた原発の新設計画を凍結すると発表したことを機に東京新聞が「原子力政策が行き詰まった」とする記事を出しました。
 
 折しも、菅官房長官は18日午前の記者会見で、日立の英原発新設計画の凍結を決めたことをめぐり、原発政策について「安全運転や東京電力福島第1原発事故の収束を実現するためにも人材、技術、産業基盤の維持・強化は不可欠だ」と強調した(18日産経新聞)ということですが、原子力ムラの願望が表明されただけの意味不明のものでした。
 
 今や国策で推進できるロシア、中国を除けば、世界中で原発を推進しようとしている国などありません。
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原子力政策行き詰まり 日立、英原発凍結を発表
東京新聞 2019年1月18日
 日立製作所は十七日、英国で進めてきた原発の新設計画を凍結すると発表し、安倍政権が成長戦略の柱と位置付ける「原発輸出」はゼロになる。国内では新設はおろか既存原発の再稼働も進んでいない。高速炉の研究開発や使用済み核燃料の再利用、核のごみの最終処分場建設など政府の原子力政策はすべて行き詰まっている
 
 日立は英中西部アングルシー島で原発二基の建設を計画。事業費が安全対策の強化で想定を一兆円超上回って三兆円規模になる見通しになったが、資金の出し手が集まらず、日立は一社では負担できないと判断した。撤退となる公算が大きく、関連資産の価値がなくなると見込んで二〇一九年三月期連結決算で三千億円の損失を計上する。
 
 計画は政府が後押しする原発輸出の一つ。東京電力福島第一原発事故の後、政府は国内での新設を棚上げして海外で相次ぎ受注。しかし、事故への懸念から見直しが相次ぎ、ベトナムなどで日本企業が受注した計画はすべて頓挫した。残るトルコでの計画も三菱重工業は断念する方針だ。
 
 国内では既存原発の再稼働が進まず、新しい規制基準で稼働したのは九基。一方、東日本大震災前に五十四基あった原発は三十四基に減少した。今後も減り続け、政府が掲げる「二〇三〇年度に必要な電力の20~22%を原発でまかなう」という目標の達成は難しい。
 
 また、原発で使い終わった燃料は再利用する計画だが、そのために建設している青森県六ケ所村の工場は、予定した一九九七年の完成が二十年超も遅れている。より効率的に再利用できるとして研究する高速炉も、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)は一六年に廃炉が決定。政府はフランスの計画に相乗りして共同研究するとしたが、同計画も見直しが決まり実現のめどが立たない。さらに、使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物や、廃炉になった原発を解体して出る「核のごみ」は、行き場すら決まっていない。
 
 それでも政府は「日本には資源がない」(経済産業省幹部)などとして維持推進を掲げる。これに対し、海外では原発に見切りを付け、再生可能エネルギーを安く安定して利用する技術開発が進む。拓殖大政経学部の大石高久教授(経済思想史)は「原発は五十年前の技術で限界にきており、しがみついていては世界から後れをとる」と指摘している。 (吉田通夫)
 
             行き詰まる日本の原子力政策
 
輸     出
 安倍政権が成長戦略の柱に掲げるも、失敗
 
 
 続きで実績ゼロ
 
既存原発の再稼働
 現在9基にとどまり、2030年度の原発
 
 
 割合20~22%の達成困難
 
使用済み核燃料の再利用
 必要な施設の完成が遅れ、使用済み燃料は
 
 
 たまる一方
 
高  速  炉
「もんじゅ」の失敗後、研究のめどが立た
 
 
 ず、後継炉を描けず
 
「核のゴミ」最終処分場
 処分地の選定進まず行き場なし