2019年1月24日木曜日

<女川2号機再稼動 施策を問う>(4完)住民投票

 シリーズ<女川2号機再稼動 施策を問う>の最終回は「住民投票」です。
 宮城県の市民団体「県民投票を実現する会」は昨年12段階で114303人の署名を集めました。これは条例制定の直接請求に必要な数の約3倍に上ります
 
 再稼働の是非を問う住民投票条例制定を求める請願は、これまで大阪市と東京都を皮切りに静岡県、新潟県などで計5行われましたが、いずれも議会の否決で実現していません。これは住民の意向と都県市議会の意向に乖離があるためです。
 河北新報社が178月、宮城県内で行った世論調査では、女川原発再稼働に反対が686%で、賛成は287ですが。県議58人へのアンケート(昨年1011月)30人が再稼働に賛成と表明し、反対22人、無回答6でした
 残念ですが、そういう議員を選出した住民の責任も問われことになります。
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<女川2号機再稼動 施策を問う>(4完)住民投票/民意反映する試金石
河北新報 2019年1月23日
 仙台市青葉区の一番町平和ビル前で昨年12月、行き交う人波に青葉区の主婦佐々木すみれさん(62)が署名簿を差し出した。東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働の是非を問う住民投票条例制定を求める署名だ。
 
 2年前、重度の知的障害がある娘(32)が石巻市内のグループホームに入所した。「女川原発で事故があれば、大変なのは娘だけじゃないと気付いた。賛成でも反対でも、みんなで決めたい」と思いを明かす。
 署名活動を展開した市民団体「県民投票を実現する会」は今月10日、県内各市区町村選管に署名簿を本提出した。昨年10~12月に集まった11万4303人の署名は、条例制定の直接請求に必要な数(有権者の50分の1)の約3倍に上る
 
<いずれも否決>
 原発の再稼働は、県や立地自治体の首長らが判断するのが慣例。実現する会は「宮城は、東京電力福島第1原発事故の爪痕の深さを目の当たりにした。幅広い県民が意思表示をしたいという思いの表れだ」と強調する。
 再稼働の是非を問う住民投票条例制定を求める市民活動は全国で相次いだ。原発事故後、電力大消費地の大阪市と東京都を皮切りに、原発が立地する静岡県などで直接請求が計5回成立した。が、いずれも議会の否決で実現していない
 
 新潟県議会は2013年1月、東電柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う条例案を退けた。「有権者は選挙によって権利を行使している。それで十分」「議会軽視だ」。県議会側の反発は強かった。住民投票の意向を聞くため、直接請求した市民団体が県議に依頼した事前アンケートには、53人中42人が回答しなかった。
 市民団体の共同代表を務めた橋本桂子さん(46)=上越市=は「原発や住民投票の知識が不十分なのに拒否された」と振り返る。望んだのは問題意識を醸成する対話。「住民投票をきっかけに、県内の幅広い有権者と県議が原発に当事者意識を持てるよう熟議にまきをくべたかった」と語る。
 
<議会と不一致>
 河北新報社が17年8月、宮城県内の有権者を対象に実施した世論調査では、女川原発再稼働に反対が68.6%で、賛成は28.7%。これとは対照的に、県議58人へのアンケート(昨年10~11月)は30人が再稼働に賛成と表明し、反対22人、無回答6人だった。
 原発再稼働に関する民意が、その縮図であるはずの議会構成とは必ずしも一致しない。原発は必要なのか、エネルギー政策はどうあるべきか。住民投票条例を否決すれば、署名で集まった民意も熟議の機会も宙に浮く。
 
 実現する会の多々良哲代表(60)=仙台市=は「条例可決はたやすいことではない」と認める。一方、署名活動を通じて東日本大震災を経験し、福島の事故の隣県として原発を自分事と捉える県民が多いとも感じたという。
「女川原発再稼働で問われているのは、私たちの生き方、地域の未来。県民一人一人が意思を表示することが、地方自治を豊かにすることにつながる」。県民投票が、その試金石になると考えている。(報道部・高橋鉄男)