2019年1月15日火曜日

福島で成人式、富岡町、大熊町、浪江町の新成人は全員町外在住

 12日と13日、東北各地で成人式が行われました。
 福島第1原発事故の被災地では、出席した新成人が復興途上にある古里の再生への誓いを新たにしまし
 富岡町の成人式は13日、町文化交流センターで行われ、いずれも町外在住の新成人152人のうち60人が参加しました
 全町避難している大熊町の成人式は13日、いわき市で行われ避難先から83人の新成人駆け付けたました。
 浪江町の成人式12日町地域スポーツセンターで行われ、全員が町外在住の新成人234人中106人が出席し、自身の飛躍と町の復興を願いました
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<成人式>将来的に町へ帰りたい/福島・富岡
河北新報 2019年1月14日
 東北各地で成人式が行われた13日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地では、出席した新成人が復興途上にある古里の再生への誓いを新たにした。
 
 東京都の専門学校2年深谷志乃さん(20)が「支えてくれた人々への感謝を忘れず、力強く優しくたくましく生きていく」と誓いの言葉を述べた。懇親会も開かれ、参加者は小中学校時代のスライドを懐かしそうに見入った。
 町は原発事故に伴う避難指示が2017年春に一部を除き解除されたが、居住している新成人はいないという。
 成人式の実行委員長を務めた東京都の大学2年荒木明彦さん(20)は「町の外から町の未来を担う子どもの教育に関わりたい。将来的には古里に帰って来ようと思う」と話した。
 
 
<成人式>避難先から再生を決意/福島・大熊
河北新報 2019年1月14日
 東北各地で成人式が行われた13日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地では、出席した新成人が復興途上にある古里の再生への誓いを新たにした。
 
 原発事故で全町避難する福島県大熊町の成人式はいわき市で行われた。避難先から駆け付けた83人の新成人らは、今春一部地区で避難指示解除が見込まれる古里の復興へ決意を示した。
 式辞で渡辺利綱町長は「成長した皆さんに元気づけられた。諦めず、町の再生へ進む」と強調。新成人代表の武蔵野大2年夏目裕大さん(20)=東京都=が「町を支えられるよう精進したい」と誓った。
 震災時に小学6年だった新成人は避難先の中学校に入学したケースが多い。昨年まであった大熊中校歌の斉唱は今回なかった。
 いわき市内の中学高校に通った東北福祉大2年宗像梨緒さん(20)=仙台市=は「大熊を離れて、初めて古里の良さを感じられるようになった。特別支援学校の教員になり、福島の復興に関わりたい」と話した。
 町内の学校で学んだ経験がない新成人は今後も増えるため、町教委は今回初めて事前に意向を調査。対象者129人のうち91人が回答し、66%が「町の式のみ参加」、19%は「町と避難先両方に参加」だった。実施場所はいわき市が74%で最も多かった。
 町は今春、大川原地区の新庁舎で業務を始める。来年の成人式を町内で行うかどうか今後検討する。
 
 
<成人式>復興、伝統、支える力に 福島・浪江
河北新報 2019年1月13日
 福島県浪江町の成人式が12日、町地域スポーツセンターであった。東京電力福島第1原発事故に伴う全町避難が2017年春に一部で解除されたが、町教委によると式対象の234人は現在、全員が町外在住。この日は45%に当たる106人が出席し、自身の飛躍と町の復興を願った。
 東日本大震災当時は小学6年生で、卒業間近だった。式では六つあった小学校の校歌が演奏され、出席者が懐かしそうに歌詞に見入った。吉田数博町長は式辞で町の復興状況に触れ「新しい町づくりには若い力が必要不可欠。ふるさと浪江のために何らかの形で関わり力添えを」と述べた。
 新成人を代表し、東北福祉大2年横山和佳奈さん(仙台市)が「慣れない土地での避難生活で、周りに強く当たってしまうこともあったが、家族らに支えられて成人式を迎えられた。直接復興に携われなくても町の伝統や歴史を受け継ぎ伝えたい」と誓った。
 横山さんは、津波で壊滅的被害を受けた請戸地区出身。大学で福祉心理学を専攻し「将来はカウンセラーになり、災害時に避難先に出向きたい」と話した。地区に伝わる「請戸田植踊」の伝承にも力を注ぐ。
 線量が高く今も帰還困難区域の津島地区出身で、日大工学部2年の石井裕平さん。福島市に避難し、親友と離れ離れになった。「津島を完全に元通りにするのは困難かもしれないが、人が住めるよう除染を進めてほしい。仕事があるなら地元に戻りたい」と語った。
 町の居住者は昨年12月末現在、873人。震災前は約2万1400人が暮らしていた。