2019年7月27日土曜日

千年の歴史「相馬野馬追」開幕 昨春浪江に帰還の11歳少女が初陣

 福島県で千年の歴史を誇伝統行事「相馬野馬追」が27日、開幕しました。地域ごとに分かれた五つの甲冑姿の騎馬隊計約400騎がそれぞれ出陣式を開き、ほら貝を鳴らし、商店街や駅前を練り歩きます
 
 原発事故による全町避難で10カ所以上転々とし、千葉県の小学校に入学した夏、父の仕事の関係でタイの首都バンコクへ行き3年半を日本人学校で過ごした福島県浪江町のなみえ創成小6年紺野琉美子さんが騎馬隊で初出場します
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千年の歴史「相馬野馬追」開幕 騎馬隊400騎が出陣式
共同通信 2019/7/27
 福島県で千年の歴史を誇り、戦国時代さながらに甲冑姿の騎馬武者が競馬などを繰り広げる伝統行事「相馬野馬追」が27日、開幕した。地域ごとに分かれた五つの騎馬隊計約400騎がそれぞれ出陣式を開き、ほら貝を鳴らし、商店街や駅前を練り歩いた。
 
 今年4月、東京電力福島第1原発事故による避難指示が初めて一部で解除された大熊町の住民も加わる騎馬隊は、浪江町から出発。中学生の時から出場している自営業吉田昌平さん(43)は、原発事故の影響で今は水戸市で暮らす。出陣前「昨年亡くなった馬の師匠や、古里のために力を尽くしたい」と意気込みを語った。
 
 
相馬野馬追あす開幕 昨春浪江に帰還の11歳少女が古里思い初陣
  河北新報 2019年07月26日
 国の重要無形民俗文化財「相馬野馬追」が27~29日、南相馬市原町区の雲雀ケ原祭場地を主会場に開かれる。参加予定の401騎の騎馬武者が行列などで勇壮な戦国絵巻を繰り広げる。
 27日は旧相馬藩内の五つの郷からそれぞれ出陣。午後2時から雲雀ケ原で宵乗り競馬がある。
 本祭りの28日は午前9時半から騎馬武者が原町区中心部を雲雀ケ原まで行進。正午から甲冑(かっちゅう)競馬、午後1時から神旗争奪戦を行う。
 29日は市小高区の小高神社で午前9時から、裸馬を素手で捕らえて神前に奉納する「野馬懸(のまかけ)」がある。
 
◎5月からの練習「楽しい」
 27日開幕する相馬地方の伝統行事「相馬野馬追」に、福島県浪江町のなみえ創成小6年紺野琉美子(るみこ)さん(11)が騎馬隊で初出場する。東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の一部解除を受け昨春、家族と帰町した。当日は中心部を行列する馬上から古里を眺める。「なかなか言うことを聞かない」という馬と初陣に臨む。
(南相馬支局・佐藤英博)
 
 祖父に勧められ、出場を決断した琉美子さん。5月から騎乗練習を始めた。「馬? 楽しいです。でも結構わがまま。うまく進んでくれなかったり。なめられてます」と笑う。
 学校の先生たちが一番楽しみにしているという。「あまり自分に注目しないでほしい。乗り手が緊張すると馬が大変になるから」
 
 3歳半の時、東日本大震災を町内の自宅で経験した。すごい揺れ。物がたくさん落ちてきたのを覚えている。2階のベランダで待つと、祖母が迎えに来た。車に乗って走り始めたところで、記憶は途絶えた。津波はすぐ近くまで来ていた
 原発事故による全町避難で10カ所以上転々とし、千葉県の小学校に入学した夏、父の仕事の関係でタイの首都バンコクへ。4年生までの3年半を日本人学校で過ごした
 昨春のなみえ創成小開校を機に、父を現地に残して一足先に母や妹と町に戻った。5年生の時は琉美子さん1人。6年生になって級友が1人増えた。
 「学校の人数は多くても少なくても、あまり気にしない。だけど町の家々が取り壊され、どんどん減っているのは寂しい」
 
 町の避難指示が一部で解除されたのは2017年春。2年以上たち、町内に居住するのは約1000人。震災前の2万1400人に遠く及ばない。
 それでも相馬藩に五つあった「郷(ごう)」のうち浪江、同県大熊、双葉3町を束ねる「標葉(しねは)郷」は昨夏、8年ぶりに浪江に本陣が立つなど明るさを取り戻しつつある。
 琉美子さんは27日朝に浪江本陣を出陣し、騎馬行列で町中を行進。28日の本祭りでは南相馬市原町区の中心部での行列にも加わる。
 母の麻由美さん(44)は「琉美ちゃんは浪江に戻ってからいろいろ前向きで、安心して見ていられる」と目を細める。
 野馬追には、琉美子さんが「前のように大きい声では言えなくなったけど、大好き」と言う父も、タイから一時帰国する予定だ。