2019年7月20日土曜日

福島第2原発の4基 廃炉を正式決定へ 東電

 東電が、重大事故に至らなかった福島第2原発の全4基の廃炉を正式決定する方針を固めました。これにより東電の原発は柏崎刈羽だけとなります。
 この4基を含めると廃炉が決まったのは8原発15基になります。
 廃炉完了には40年以上かかる見通し費用は約2800億円余りを見込んでいます
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福島第二原発の4基 廃炉を今月中にも正式決定へ 東京電力
NHK NEWS WEB 2019年7月19日
東京電力は東日本大震災以降、運転を停止している福島第二原子力発電所について4基すべてを廃炉にすることを今月中にも正式に決定する方針を固めました。
福島第二原発は8年前に事故が起きた福島第一原発からおよそ12キロ南にあり、震災以降、4基すべての運転が停止されたままになっています。
この4基について、東京電力はすべて廃炉にすることを今月中にも正式に決定する方針を固めました。
原発事故を起こした福島第一原発を除くと東京電力が廃炉を決めるのは初めてで、これによって、震災前には10基あった福島県内の原発はすべて廃炉になります。
 
福島第二原発をめぐっては地元の福島県の内堀知事らが再三、廃炉にするよう求めていて、去年6月には東京電力の小早川智明社長が、廃炉の方向で検討することを明らかにしていました。
東京電力は、廃炉に伴って2800億円余りの費用が必要となると見積もっています。
このうち2100億円余りはすでに積み立てていますが、足りない費用は廃炉のための会計制度を利用する考えです。
東京電力は事故にともなう福島第一原発の廃炉作業も抱えながら福島第二原発の廃炉も進める必要があり、具体的な計画は今後策定することにしています。
 
東電の原発は柏崎刈羽原発のみに
8年前の東日本大震災の前、東京電力は福島第一原発の6基、福島第二原発の4基、それに新潟県にある柏崎刈羽原発の7基の合わせて17基の原発を運営していました。
しかし、事故を受けて福島第一原発は廃炉に。
そして、今回、福島第二原発も廃炉となる方針が固まったことで残るは柏崎刈羽原発の7基となります。
 
この柏崎刈羽原発は、おととしに6号機と7号機の2基が再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査に合格しましたが、残る国の認可や地元の同意は得られていません。
特に地元、柏崎市は6号機と7号機の再稼働の条件として1号機から5号機のいずれかについて具体的な廃炉計画を示すよう東京電力に求めています。
一方、東京電力は、廃炉にかかる巨額な費用や住民への賠償などを負担していくために、柏崎刈羽原発の再稼働を目指したい考えで、今後についてまだ具体的な見通しは示されていません。
 
全国の廃炉の数は
8年前の原発事故のあと、事故を起こした福島第一原発以外で廃炉が決まったのは、福井県にある敦賀原発1号機、美浜原発1号機と2号機、大飯原発1号機と2号機、島根県にある島根原発1号機、佐賀県にある玄海原発1号機と2号機、愛媛県にある伊方原発1号機と2号機、宮城県にある女川原発1号機、そして今回、廃炉方針が固まった福島第二原発の4基を合わせると8原発15基となります。
 
福島第二原発も一時 避難指示に
福島第二原発の1号機から4号機は事故を起こした福島第一原発から南におよそ12キロの福島県楢葉町と富岡町にまたがって位置しています。
1基当たりの出力は110万キロワットあり、事故の前、東京電力の原発全体の出力の25%を占め、つくった電力は首都圏に送られていました。
東日本大震災の際、福島第二原発は4基すべてが運転中で大きな揺れで自動停止しました。
福島第一原発と異なり、津波のあとも外部から電力を受けることができていたため原子炉がメルトダウンを起こす最悪の状態は避けることができましたが、原子炉の熱を逃すための非常用の安全設備が故障したことなどから、一時、政府は、原発から半径10キロ圏内に避難指示を出す事態になりました。
その後、設備の復旧が行われ、4基すべてで原子炉の温度が100度を下回る冷温停止となっていました。
 
要請受けて福島第二原発の廃炉検討
東京電力の小早川智明社長は去年6月、福島第二原発についても廃炉の方向で検討する考えを表明していました。
この際、小早川社長は、「知事や県議会などから再三、廃炉の要請を受ける中、これ以上、あいまいな状態では復興の足かせになると考えた」と理由を語りました。
その後、ことし1月には、福島県の内堀知事が廃炉の正式決定を要請したのに対し、小早川社長は「スピード感をもって検討したい」と応じていました。