2019年7月26日金曜日

第2原発廃炉 立地2町への交付金などが大幅減

 福島第2原発全4基の廃炉に伴い、福島県楢葉、富岡の立地2町は町が得ている交付金や固定資産税計約20億円の大幅減額が見込まれるため、代替の財源措置を国などに求める方針です。
 電源三法交付金は廃炉が決まると激変緩和を目的として、段階的に減って10年でゼロになる別の交付金に代わります。これまでの交付金は、原発事故前のベースで楢葉予算の40%、富岡は約25%を占めていました。
 しかしこの新たな交付金だけでは激変緩和につながらないとして、現在第1原発周辺7市町村に15年度以降交付されているのと同等の特別措置を求めるものと思われます。
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福島第2原発廃炉へ 立地2町の財政に影響必至 交付金など大幅減
 河北新報  2019年07月25日
 東京電力が福島第2原発全4基の廃炉を正式決定すると表明し、財政面で同原発に依存してきた福島県楢葉、富岡の立地2町は対応を本格的に迫られる。各町が得ている交付金や固定資産税計約20億円の大幅減額が見込まれ、2町は代替の財源措置を国などに求める方針だが、めどは立っていない
 
 東電の正式表明を前に24日午前、福島第1(大熊町、双葉町)を含む原発立地4町による協議会の定期総会が楢葉町であった。終了後、宮本皓一富岡町長は「大きく経済、財政に影響する。雇用面などで地域全体を支えてきた面があった」と第2原発廃炉の影響に懸念を語った。
 約20億円の半分は原発立地に伴い国から支給される電源三法交付金、もう半分は発電所の固定資産税。福島第1原発事故前、一般会計予算の歳入で楢葉は約40%、富岡は約25%を占めた。事故後は復旧復興関連で予算規模が膨らみ、2019年度は当初ベースで楢葉約20%、富岡約10%と比率は低下した
 
 復興事業はいずれ収束する。「仮にそっくりなくなってしまったら大規模な行財政改革は避けられない。投資的な事業もできなくなる」(楢葉町関係者)と深刻だ。
 実際、電源三法交付金は廃炉が決まると激変緩和を目的とした別の交付金に代わり、段階的に減って10年でゼロになる
 2町は公共施設の維持管理費や人件費にも交付金を充てており、事業抑制といった歳出の切り詰めだけでは対応しきれない。一般財源の固定資産税も大幅減が避けられないとみられる。代替となる財政支援の要請で、2町は第1原発に近い扱いを念頭に置く。
 第1原発周辺7市町村には15年度以降、計画的な廃炉原発とは異なる枠組みが適用されている。事故による廃炉を踏まえ国が30年間、年84億円を支給する交付金を財源に県が補助金を交付。このため大熊、双葉の立地2町は事故前並みの金額を受け取っている。
 「第1原発事故が起きなければ第2原発廃炉はなかった」というのが楢葉、富岡両町の主張だ。24日の協議会総会であいさつした松本幸英楢葉町長は「通常の廃炉とは経緯が異なることを認識するよう国に働き掛けなければならない」と強調した。
 
 
福島第2原発廃炉へ 
住民安堵「帰還者増を期待」、作業や地域経済への懸念も
    河北新報  2019年07月25日
 東電が福島第2原発廃炉の正式決定を表明したことに、立地する福島県楢葉、富岡両町の住民から安堵(あんど)の声が上がった。今後の廃炉作業の安全性や地域経済の行方に懸念を示す意見もあった。
 2年前に避難先の郡山市から富岡町に戻った主婦武上ヒサ子さん(84)は「本当によかった。避難生活はつらく、悲惨な事故は繰り返してはならない。これを契機に町に帰還する人が増えるといい」と期待する。
 今後の廃炉作業の安全性に不安を覚える住民も。子ども2人を育てる同町の主婦三国桜さん(32)は「子どもたちが一番心配。事故が起きないよう進めてほしい」と注文した。
 楢葉町からいわき市に避難している建設業松田国義さん(61)は第2原発の建設と保守に携わった。「第1原発のような事故が起きるとは思わなかった。避難を強いられた住民や爆発した第1原発の姿を思うと廃炉に賛成」と語る。
 
 一方で第2原発は2町の経済や雇用を長らく支えてきただけに、廃炉決定に複雑な思いを抱く商工業者もいる。
 第2原発に隣接する楢葉町波倉行政区の区長で、昨年12月に地元で飲食・仕出し店を再開させた大和田正博さん(65)は「共存共栄で長年やってきて、地区活動にも協力してくれたので寂しい限り。廃炉はやむを得ないが、地域の発展につながる跡地利用を考えてほしい」と話した。
 富岡町商工会の遠藤一善会長は「廃炉に関わる人の流れや必要な職種は何なのかなどを見極め、商店の再開や他業種への新規参入を促したい」と地域経済の振興に生かす姿勢を示した。