2019年7月18日木曜日

新潟日報が「原発政策もっと踏み込んだ論戦を」と

 新潟日報が、参院選で原発政策に「もっと踏み込んだ論戦を」とする社説を出しました。
 うち越さくら氏は「本気の原発ゼロ」を訴えていますが、「目標実現への道筋をどう考えているのか。同時に、立地地域の将来像をどう描いているのか。具体的に語ってほしい」としています。
 うち越氏の本気度は伝わるところですが、野党統一候補という制約があって、具体的な道筋を語るまでは熟していないということでしょうか。
 塚田一郎氏は、県の「三つの検証」の結論が出るまで再稼働の議論はしないとする花角英世知事の方針に支持を表明しただけです。自民党が原発の再稼働に血道を上げているのは明らかなので「逃げた」との誹りは逃れられません。
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社説 原発政策 もっと踏み込んだ論戦を
新潟日報 2019年7月17日
 本県には東京電力柏崎刈羽原発が立地する。その再稼働問題は、県民や県土の将来に関わる重大なテーマといえる。
 だが、それに見合うだけの活発な議論が展開されているとは言い難い。参院選新潟選挙区での原発政策を巡る論戦である
 
 新潟選挙区は、事実上の与野党対決となっている。原発政策では、与野党には大きな隔たりがある。
 政府与党は原発再稼働推進の立場なのに対し、野党は原発ゼロや脱原発を公約に掲げる。
 構図ははっきりしており、県民にとっては身近な課題でもある。にもかかわらず、選挙戦も終盤というのに、論戦は迫力を欠いているように見える。
 野党統一候補で無所属新人の打越さく良(ら)氏は「本気の原発ゼロ」を訴えるでは、目標実現への道筋をどう考えているのか。同時に、立地地域の将来像をどう描いているのか。具体的に語ってほしい
 自民党現職の塚田一郎氏は、県の「三つの検証」の結論が出るまで再稼働の議論はしないとする花角英世知事の方針に支持を表明する。では、与党の公約についての見解はどうか。きちんと聞きたい。
 
 12年前の中越沖地震では柏崎刈羽原発が想定を超える揺れに襲われ、原発の「安全神話」は大きく揺らいだ。
 そして、8年前に起きた東電福島第1原発事故によって「神話」は崩壊した。
 原発でいったん過酷事故が発生すれば、その被害や影響は広範囲に及び、長期にわたる。胸に刻み続けるべき、福島事故の重い教訓であろう。
 しかし、このところ、そうした教訓や事故の記憶が薄れつつあるのではないかと思わされる事態が起きている。
 先月の新潟・山形地震で、柏崎刈羽原発に「異常あり」と東電が自治体などに誤って連絡した問題で、原子力規制庁の現地事務所長が「重要視はしていない」と発言した。
 これに対し、柏崎市長や柏崎市議会が疑問を呈し、住民から反発の声が上がった。
 東電は福島事故の当事者である。さらに、社外の感覚とは乖離(かいり)した自社の都合優先の「安全文化」がたびたび問題視されてきたことを思えば、疑問や反発は当然だろう。
 そうした中だけに、参院選を通して原発を巡る論戦を深めることが極めて重要だ。
 抽象的な物言いや曖昧な表現ばかりでは表面をなでるだけに終わり、県民を戸惑わせることにもなりかねない。
 有権者に分かりやすく判断材料を提供するためにも、候補者には日本のエネルギーの将来像をどう構想するかを含めて自らの主張を明確にし、県民の疑問に答えてもらいたい
 問われているのは候補者の選挙民に対する責任感であり、原発政策への当事者意識である。